判旨
憲法違反を主張する上告であっても、その実質が原審の適法な事実認定を非難するにすぎない場合は、適法な上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
憲法違反を上告理由として掲げつつ、実質的に原審の事実認定を争う主張が、適法な上告理由(民事訴訟法上の憲法違反等)に該当するか。
規範
上告理由として憲法違反を主張する場合であっても、その実質が原審の行った事実認定(証拠の成立の認否等を含む)を非難するに帰するものは、上告適法の理由とはならない(旧民訴法401条、現行民訴法312条参照)。
重要事実
上告人が原審の判決に対し、憲法違反を理由として上告を申し立てた事案。しかし、その主張の内容は、原審が甲号証の成立を是認した点などの事実認定を不服とするものであった。
あてはめ
上告人は憲法違反をいうが、その主張の実質は、原審が適法に行った事実認定(証拠の成立に関する認定を含む)を非難するにとどまっている。これは法的な憲法判断の問題ではなく、事実認定の当否を争うものであるため、適法な上告理由にはあたらないと解される。
結論
本件上告は適法な理由を欠くため、棄却される。
実務上の射程
上告理由の制限に関する実務上の取扱いを示す。形式的に憲法違反を主張しても、内容が単なる事実誤認の主張であれば上告理由として認められないという不適法却下(または棄却)の典型的な論理構成を裏付けるものである。
事件番号: 昭和32(オ)909 / 裁判年月日: 昭和32年12月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由として主張された憲法違反の内容が、その実質において原審の適法な事実認定を非難するにすぎない場合には、適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原審(控訴審)の事実認定および特定の証拠(甲号証)の成立に関する認定に不服があり、これを憲法違反であるとして上告を提起した。 第2 …