判旨
上告理由が原審の事実認定を非難するにすぎない場合、適法な上告理由とは認められず、上告は棄却される。
問題の所在(論点)
原審の裁量によってなされた事実認定を非難し、それと異なる事実を前提とする主張が、適法な上告理由(民事訴訟法旧401条、現312条等)に該当するか。
規範
上告適法の理由とするためには、原判決の事実認定そのものを非難するのではなく、憲法違反や判決に影響を及ぼすべき法令違反等の具体的な違法事由を主張しなければならない。
重要事実
上告人が、原判決が認定した事実と相容れない事実を主張し、原判決には法令の違法または判例違反がある旨を主張して上告を申し立てた事案。
あてはめ
上告人の主張は、原判決が認定した事実とは異なる事実を前提とするものであり、結局のところ原審の専権に属する事実認定を非難するものにすぎない。このような主張は、判例違反等の適法な上告理由として構成されているとはいえない。
結論
本件上告は適法な理由を欠くため、棄却される。
実務上の射程
事実誤認を実質的な上告理由として主張することの限界を示す。司法試験の答案作成においては、上告審の構造(法律審)を説明する際、事実認定が原審の裁量(専権)に属することを論証する補強材料として機能する。
事件番号: 昭和28(オ)1013 / 裁判年月日: 昭和29年11月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事上告において、原審における証拠の採否や事実認定を非難するにすぎない主張は、上告の適法な理由(上告受理の要件)に該当しない。 第1 事案の概要:上告人が、原審における裁判所の証拠の取り捨てや、それに基づく事実認定を不当として争い、最高裁判所に対し上告を申し立てた事案。 第2 問題の所在(論点):…