判旨
人身保護法による救済は、身体の自由を拘束する裁判等の手続が権限なしになされ、又は法令の定める方式・手続に対する違反が顕著である場合に限られる。適式有効な令状に基づく拘束については、特段の事情がない限り、右の顕著な法令違反があるとはいえない。
問題の所在(論点)
適式有効な令状に基づき身体の自由を拘束されている場合、人身保護法上の救済要件である「法令の定める方式若しくは手続に著しく違反していることが顕著である場合」に該当するか。
規範
人身保護法により救済を請求できるのは、身体の自由を拘束する裁判若しくは処分が権限なしになされ、又は法令の定める方式若しくは手続に著しく違反していることが顕著である場合に限られる。また、拘束が適式有効な令状に基づくものである場合は、原則として右の「顕著な法令違反」には当たらない。
重要事実
抗告人は、身体の自由を拘束されているとして、人身保護法に基づく救済を求めた。しかし、抗告人に対する実際の拘束は、裁判所等の発付した適式かつ有効な令状に基づくものであった。原決定は、令状による拘束である以上、顕著な法令違反には当たらないとして請求を排斥したため、抗告人がこれを不服として特別抗告を行った。
あてはめ
本件において、抗告人に対する身体の拘束は適式有効な令状に基づいて行われている。人身保護法が予定する救済は、拘束の法的根拠が全く欠如しているか、又は手続上の瑕疵が明白かつ重大な場合に限定されるところ、有効な令状が存在する以上、拘束手続が権限なく行われたものとはいえず、また法令違反が顕著であるとも認められない。したがって、原決定が抗告人の請求を排斥した判断に違法はない。
結論
抗告人に対する拘束は適式有効な令状に基づくものであるから、人身保護法による救済の要件を満たさず、本件抗告は棄却される。
事件番号: 昭和23(ク)30 / 裁判年月日: 昭和23年10月29日 / 結論: 却下
一 人身保護法による釈放の請求を排斥した決定に対しては、憲法違反を理由とするときに限り、最高裁判所に抗告の申立をすることができる。 二 昭和二三年政令第二〇一号違反の容疑により勾留された者が人身保護法により釈放を請求したのに対し、原決定が人身保護規則第四条に該当しないとの理由でこれを排斥した場合、右政令が憲法違反である…
実務上の射程
人身保護請求における「顕著な法令違反」の判断基準を、刑事手続上の令状による拘束との関係で示したものである。答案上は、人身保護法の補充性を論じる際、既判力のある裁判や令状に基づく拘束については原則として本法の救済対象外となることを示す根拠として活用できる。
事件番号: 昭和25(ク)24 / 裁判年月日: 昭和25年6月16日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、原決定が憲法に違反することを理由とする場合に限り許される。実質的に手続法規の違反を主張するに留まる場合は、違憲の主張とは認められず、抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人が原決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた事案。抗告人は、原決定の手続上の瑕疵を理…
事件番号: 昭和25(ク)33 / 裁判年月日: 昭和25年6月16日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、原決定に憲法違反がある場合に限り許容される。単なる手続法規の違反を主張するにすぎない場合は、違憲の主張とは認められず不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人が原決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた事案。抗告人は抗告理由を記載した別紙を提出したが、その内容は原…
事件番号: 昭和25(ク)54 / 裁判年月日: 昭和25年7月15日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】人身保護法による救済を求める利益は、身体の自由が回復された場合には失われるため、保釈により釈放された者は救済の利益を欠く。 第1 事案の概要:抗告人は身体を拘束されていたが、昭和25年5月31日になされた保釈決定に基づき、同日釈放された。これにより、抗告人は身体の自由を回復した。その後、人身保護法…
事件番号: 昭和47(ク)116 / 裁判年月日: 昭和47年6月22日 / 結論: 却下
人身保護法による釈放の請求を排斥した決定に対しては、憲法違反を理由とするときにかぎり、最高裁判所に抗告の申立をすることができる。