最終の口頭弁論期日に訴訟復代理人として出頭した者に代理権が存しなかつたとしてもその者が弁論その他実質的に本案に関する訴訟行為を為さなかつたときは、当時既にその攻撃防禦の方法の提出を了り右が判決に影響を及ぼす蓋然性がないと認められる限り、右期日に為された最終弁論に基いて為された判決に民訴第四二〇条第一項第三号所定の再審事由が存するものと謂うことを得ない。
民訴法四二〇条第一項第三号に該当しない一事例
判旨
訴訟代理権を欠く者が訴訟に関与しても、本案につき実質的な訴訟行為を行わず、判決に影響を及ぼす蓋然性がない場合は、特段の事由がない限り再審事由(旧民訴法420条1項3号、現行338条1項3号)に当たらない。
問題の所在(論点)
訴訟代理権を欠く者が、本案に関しない形式的な申請のみを行い、判決の結果に影響を及ぼすおそれがない場合であっても、民事訴訟法338条1項3号(旧420条1項3号)の再審事由に該当するか。
規範
訴訟代理権を欠く者の関与が再審事由となるのは、原則として代理権の欠如が判決の結果に影響を及ぼす可能性がある場合に限られる。したがって、当該者が本案につき何ら実質的な訴訟行為を行わず、その関与が判決に影響を及ぼす蓋然性が全く存しないときには、特段の事由がない限り、代理権の欠缺には当たらないと解するのが相当である。
重要事実
前訴の第一審期日において、無権代理人である弁護士が訴訟復代理人として出頭し、弁論の延期申請を行った。しかし、裁判所はその延期申請を却下して弁論を終結させた。なお、当事者は当該期日より前に既に攻撃防御方法の提出を完了しており、弁論を終結させたことによってその機会が不当に奪われた事実は認められなかった。
あてはめ
本件では、代理権のない弁護士がなした行為は「弁論の延期申請」という形式的事項に留まり、本案に関する実質的な訴訟行為は一切行われていない。また、第一審裁判所がこの申請を却下して弁論を終結させた際、上告人は既に攻撃防御方法を出し尽くしていたため、防御の機会が奪われたとはいえない。以上から、無権代理人の関与が判決に影響を及ぼす蓋然性は全くなく、特段の事由も認められない。
事件番号: 昭和33(ヤ)4 / 裁判年月日: 昭和36年1月27日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】訴訟代理人が適法に提出した上告理由書は、その後に代理権が消滅したとしても有効であり、これに基づき判決をすることは民事訴訟法上の代理権欠缺(再審事由)には該当しない。 第1 事案の概要:再審原告の前上告審において、当時の訴訟代理人(弁護士)が上告理由書を提出した。その後、当該代理人は再審原告本人によ…
結論
本件における無権代理人の関与は、民事訴訟法上の再審事由(代理権の欠缺)に該当しない。
実務上の射程
訴訟代理権の欠缺が形式的に存在する場合であっても、手続保障の観点から実質的に見て「判決への影響」がない場合には再審事由を否定する限定解釈を示した。答案上では、無権代理行為がなされた場合でも、それが延期申請等の付随的行為に留まる場合には、本判例を引用して再審や無効の主張を制限する論理として活用できる。
事件番号: 昭和32(ヤ)21 / 裁判年月日: 昭和32年12月6日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】再審の訴えにおいて、訴状に記載された事由が民事訴訟法所定の再審事由(旧420条1項各号、現338条1項各号)のいずれにも該当しない場合には、当該再審の訴えは不適法として却下される。 第1 事案の概要:再審原告は、最高裁判所の確定判決に対し、「再審の上訴」と題する書面を提出して再審の訴えを提起した。…
事件番号: 昭和33(オ)1017 / 裁判年月日: 昭和36年4月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審における訴訟代理人の権限は、特段の事情がない限り、同一の事件について上訴審における代理権をも含むものと解される。 第1 事案の概要:上告人は、原審(控訴審)において被上告人を代理した弁護士に代理権がなかった旨を主張して上告した。しかし、記録上、当該弁護士に対しては第一審段階で訴訟代理委任状が…
事件番号: 昭和27(オ)393 / 裁判年月日: 昭和29年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審の訴えを提起できる事由は、民事訴訟法に列挙された事由(旧420条1項各号、現338条1項各号)に限られ、それ以外の事由による再審は認められない。一旦確定した判決の法的安定性を尊重する観点から、再審事由の規定は例示的なものではなく、限定的なものである。 第1 事案の概要:建物収去土地明渡請求訴訟…
事件番号: 昭和43(オ)1309 / 裁判年月日: 昭和45年3月17日 / 結論: 棄却
建物収去土地明渡の判決においては、土地の地積および建物の床面積を、計量法所定の計量単位によらないで、尺貫法による計量単位によつて表示しても違法ではない。