判旨
請負契約の当事者が誰であるかは事実認定の問題であり、原審が適法な証拠に基づき被上告人らが請負人ではないと判断した以上、上告理由となる法令違背は認められない。
問題の所在(論点)
請負代金請求あるいは工事に関連する責任追及において、契約の当事者が誰であるかという事実認定の当否が、上告理由としての「法令の違背」に該当するか。
規範
契約当事者の確定は、契約締結に至る諸般の事情を総合考慮して行われる事実認定の問題である。事実認定の過程において証拠法則の適用に不合理な点がない限り、その判断は専ら事実審の専権に属し、適法な事実認定は上告審を拘束する(旧民訴法401条、現行民訴法321条1項)。
重要事実
上告人は、被上告人ら6名が本件工事の請負人であると主張して訴えを提起した。しかし、原審は証拠関係を検討した結果、被上告人ら6名が本件工事の請負人であることを認めるに足りる証拠がないと判断し、上告人の請求を退けた。これに対し、上告人が原審の事実認定の不当を理由に上告した事案である。
あてはめ
本件において、原審は本件工事の請負人が被上告人らであるという事実を認めるべき証拠がないと判示している。この判断は証拠に基づく適法な事実上の判断である。上告人の主張は、単に原審の事実認定を非難するにとどまり、原判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違背(民訴法上の上告理由)を具体的に示すものとは認められない。
結論
被上告人らが請負人であることを認めなかった原審の判断に法令違背はなく、本件上告は棄却される。
実務上の射程
契約当事者の確定に関する論点において、意思表示の解釈や事実認定が争点となる場合の基本姿勢を示す。実務上、契約書の名義と実際の行為者が異なる場合などに、当事者の確定は「事実認定の問題」として一義的に処理されることが多いことを示唆する。
事件番号: 昭和31(オ)613 / 裁判年月日: 昭和32年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者が主張していない法的な構成(問屋類似行為)について、裁判所が釈明権を行使してその主張を促す義務があるとはいえない。当事者が主張する媒介または代理の事実に基づき、契約の成立を認めた原審の判断に違法はない。 第1 事案の概要:上告人は、被上告人の媒介または代理行為によって上告人とDセメント株式会…