判旨
本件は上告審における事実認定の判断に関するものであり、原審が認定した「本件立木の売却についての承諾の欠如」および「譲渡の不存在」を維持し、代理による売却の成立を否定したものである。
問題の所在(論点)
民法上の代理(99条1項)または無権代理の追認の成否に関連し、本件立木の譲渡について原告の承諾または代理権の授与があったといえるか。
規範
上告審において、原審の事実認定に不合理な点がない限り、その認定された事実(本件では立木の譲渡や承諾の有無)を前提として法令適用の適否を判断する。
重要事実
原告(被上告人)が所有する本件立木について、第三者(宮川豊)への売却が問題となった。上告人は、当該売却が代理権に基づく有効なものであると主張したが、第一審および原審は、原告が売却を承諾した事実はなく、宮川に立木を譲渡した事実も認められないと認定した。
あてはめ
原審が引用する第一審判決によれば、原告は立木の売却を承諾しておらず、宮川に対して譲渡もしていない。この事実認定を前提とする限り、上告人が主張するような「代理による売却」という法律効果が発生する余地はない。したがって、法令の解釈に関する重要な主張も含まれていないと解される。
結論
原告による売却の承諾や譲渡の事実は認められず、代理による売却は成立しない。
実務上の射程
本判決は、具体的な売買・譲渡の事実認定を重視しており、代理権の存否が争われる事案において、本人の承諾や譲渡意思の欠如という事実認定がなされた場合には、代理の成立を認める余地がないことを示している。
事件番号: 昭和37(オ)178 / 裁判年月日: 昭和39年5月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者が申し出た証拠が唯一の証拠方法である場合を除き、裁判所は審理の経過から必要がないと認めるときは、その取調べを要しない。また、売買契約の対象外である立木を、相手方代理人の不正な黙認を得て伐採する行為は不法行為を構成する。 第1 事案の概要:上告人は、被上告人所有の山林から立木を買い受ける契約を…
事件番号: 昭和28(オ)369 / 裁判年月日: 昭和30年5月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】他人の土地に植林をした者が立木の所有権を取得するためには、民法242条ただし書にいう「権原」に基づき附属させたことが必要であり、所有権取得の事実がない限り当該権原は認められない。 第1 事案の概要:上告人は、本件山林を贈与または取得時効により取得したと主張して、当該山林に植林した立木の所有権を主張…