判旨
他人の土地に植林をした者が立木の所有権を取得するためには、民法242条ただし書にいう「権原」に基づき附属させたことが必要であり、所有権取得の事実がない限り当該権原は認められない。
問題の所在(論点)
土地の所有権を取得していない者が当該土地に植林した場合、民法242条ただし書の「権原」に基づく附属として、植栽した立木の所有権を保持できるか。
規範
民法242条ただし書の「権原に因りて其物を附属せしめたる」というためには、他人の所有権を制限してその物に自己の所有権を保留し得る正当な法律上の権利(地上権、賃借権等)に基づき附属させることが必要である。
重要事実
上告人は、本件山林を贈与または取得時効により取得したと主張して、当該山林に植林した立木の所有権を主張した。しかし、原審において上告人が本件山林の所有権を取得したという事実は認められなかった。
あてはめ
上告人は本件山林の所有権を贈与や時効により取得したと主張するが、原審でその事実は否定されている。そうである以上、たとえ上告人が実際に植林を行ったとしても、それは正当な占有権原に基づいたものとはいえず、同条ただし書の「権原」には該当しない。したがって、不動産の従物(付合物)としての原則(本文)が適用され、植栽者は立木の所有権を単独で取得することはできない。
結論
上告人は「権原」に基づき立木を附属させたものとはいえず、立木の所有権を取得することはできない。
実務上の射程
不動産への付合(242条)における「権原」の意義を厳格に解する。不法占有者や権原なき占有者が工作物や竹木を設置しても、それらは不動産所有者に帰属することを確認する趣旨で、答案上は付合の成否を検討する際の標準的な判断枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和28(オ)1042 / 裁判年月日: 昭和32年1月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が判決の対象とする土地の範囲について、原告が口頭弁論(釈明)において具体的に範囲を特定し、被告もそれを前提に防御を尽くしている場合には、判決目録の記載が事実調査の結果等と相まって客観的に特定可能であれば、処分権主義に反しない。 第1 事案の概要:被上告人(原告)は、ある山林(7反1畝歩)のう…
事件番号: 昭和36(オ)208 / 裁判年月日: 昭和38年12月13日 / 結論: 棄却
他人の所有する土地に権原によらずして自己所有の樹木を植え付けてその時から右立木のみにつき所有の意思をもつて平穏かつ公然に二〇年間占有した者は、時効により右立木の所有権を取得する。
事件番号: 昭和32(オ)325 / 裁判年月日: 昭和35年3月1日 / 結論: 棄却
地盤所有権の取得につき未登記のままその地盤上に植栽した立木の所有権を、第三者に対抗するには、公示方法を必要とする。
事件番号: 昭和35(オ)900 / 裁判年月日: 昭和37年8月3日 / 結論: 棄却
山林を買受け、未登記のままこれに檜等を植栽した者が、その後特に地上立木を除外することなくいわゆる二重売買を受け、所有権移転登記を経た者に対し、その植栽した立木の所有権を主張するためにはこれを公示する対抗要件を必要とする。
事件番号: 昭和27(オ)350 / 裁判年月日: 昭和30年4月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民法242条ただし書にいう権原によって附属させた物の所有権は、公示方法を具備していなくても第三者に対抗することができる。 第1 事案の概要:本判決文には具体的な事案の詳細は記載されていないが、不動産に附属した物(立木等と推認される)の所有権の帰属およびその第三者に対する対抗力が争点となった事案であ…