判旨
裁判所が判決の対象とする土地の範囲について、原告が口頭弁論(釈明)において具体的に範囲を特定し、被告もそれを前提に防御を尽くしている場合には、判決目録の記載が事実調査の結果等と相まって客観的に特定可能であれば、処分権主義に反しない。
問題の所在(論点)
訴えの対象となる土地の範囲が「山林の内、東側○反」といった抽象的な表示である場合に、釈明や検証結果等の訴訟資料を通じて特定されていれば、処分権主義(旧民事訴訟法186条、現行246条)に反しないか。
規範
訴訟物たる特定の土地の範囲が問題となる場合、判決における表示が地番や面積のみならず、原審における当事者の釈明陳述、検証の結果、及びこれに添付された図面等から客観的に限定・特定され得るものであれば、判決の対象として有効に確定されたものと解する。
重要事実
被上告人(原告)は、ある山林(7反1畝歩)のうち「東側2反5畝歩」の範囲につき、立木および伐木の所有権確認を求めた。原審において被上告人は当該範囲を釈明により具体化し、上告人(被告)もこの釈明内容を前提に防御を行っていた。原判決は、この範囲の土地に生立する立木等の所有権を被上告人に認めたが、上告人はこれが当事者の申し立てない事項についての裁判であり、かつ認定に齟齬があるとして上告した。
あてはめ
本件では、被上告人が「東側2反5畝歩」の具体的範囲を釈明しており、上告人もこれを前提に争っていることから、審判対象の特定に欠けるところはない。また、原判決の付随目録に記載された範囲は、原審での釈明陳述、第一審における検証結果、および検証調書添付図面を総合すれば、自ら限定される。したがって、原判決が「南側」と認定した事実はなく、申し立ての範囲を超えて裁判したものとはいえない。
結論
原判決に処分権主義違反の違法はなく、対象物件は適法に特定されているとして、上告を棄却した。
事件番号: 昭和32(オ)356 / 裁判年月日: 昭和33年7月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者が係争地の具体的地域を特定し、祖先伝来の所有地であると主張して所有権確認を求めている場合、当該土地につき請求を認容することは、処分権主義に反しない。 第1 事案の概要:被上告人は、第一審から本件係争地の具体的地域を明らかにしていた。その上で、原審において、当該土地は祖先伝来の所有地であると主…
実務上の射程
訴状の記載が多義的であっても、口頭弁論における釈明や検証等の事実審の審理を通じて対象が具体化され、相手方の防御権も保障されているのであれば、判決の特定を認める実務上の指針となる。
事件番号: 昭和28(オ)369 / 裁判年月日: 昭和30年5月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】他人の土地に植林をした者が立木の所有権を取得するためには、民法242条ただし書にいう「権原」に基づき附属させたことが必要であり、所有権取得の事実がない限り当該権原は認められない。 第1 事案の概要:上告人は、本件山林を贈与または取得時効により取得したと主張して、当該山林に植林した立木の所有権を主張…
事件番号: 昭和44(オ)397 / 裁判年月日: 昭和48年6月15日 / 結論: 棄却
土地の時効取得を認めるについては、必ずしも目的土地の地番を認定することを要しない。
事件番号: 昭和33(オ)792 / 裁判年月日: 昭和36年1月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所は、証人の証言の一部を採用し、他の部分を措信しないという自由な評価を行うことが認められる。また、当事者の主張と供述が一貫している場合には、それに基づき事実を認定することが可能である。 第1 事案の概要:被上告人は、係争地を含む山林を買い受けたと主張していた。第一審および第二審において、証人D…