判旨
選挙会における決定の効力は、開票の際に存在した事実上の投票状況を基礎として判断されるべきであり、事実認定に疑義がある場合には、証拠により確定された事実に従う。
問題の所在(論点)
選挙会の決定の効力を争う訴訟において、開票時に存在した投票の事実認定がどのように行われるべきか、また、その事実認定を争う上告理由の当否が問題となった。
規範
公職選挙法に基づく当選人の決定(選挙会の決定)の適法性は、客観的に存在する投票の結果に基づいて判断される。開票時に存在した投票の真実性や存在について争いがある場合、裁判所は証拠に基づき、当該投票が適正に存在したか否かという事実認定を先行させて判断の基礎とする。
重要事実
本件では、選挙会における決定の効力が争われた。具体的には、係争の投票4票が開票の際に存在したか否かが争点となり、上告人は、当該4票が異議決定後に差し替えられたものであると主張した。しかし、原審(二審)は証拠に基づき、当該4票が開票時に存在した事実を認定し、差し替えの事実は認められないとした。
あてはめ
最高裁は、原審が証拠に基づき「本件係争の投票4票が開票の際に存在した」と認定した事実を重視した。上告人は、これらの投票が後から差し替えられたものであると主張したが、原審はそのような事実を認める証拠がないと判断している。本判決は、この原審の事実認定を不当とする上告人の主張は、単なる事実誤認の主張にすぎず、法令違反を基礎付けるものではないと評価した。
結論
原審の事実認定に不合理な点はなく、確定された事実に照らせば選挙会の決定を否定した原判決は正当である。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
事件番号: 昭和37(オ)1083 / 裁判年月日: 昭和37年12月25日 / 結論: その他
候補者中に鳥山DとE酉之助がある場合に、「トリ」と記載された投票に公職選挙法第六八条の二を適用し、両者の得票に按分加算することはできない。
選挙無効訴訟や当選無効訴訟において、現場の投票状況や票の同一性が争われる場合、裁判所の自由心証に基づく事実認定が決定的な意味を持つ。上告審においてこの認定を覆すには、単なる主張ではなく、認定を基礎付けた証拠評価の合理性を直接攻撃する必要がある。
事件番号: 昭和31(オ)729 / 裁判年月日: 昭和31年11月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法上の投票の効力判定において、投票用紙に記載された氏名等が候補者の誰を指すかにつき、客観的な記載内容のみならず証拠に基づき合理的に推認できる場合には、当該投票は有効と解される。 第1 事案の概要:上告人は、本件選挙における特定の係争投票について、その記載内容から候補者を特定できない等の理由…
事件番号: 昭和28(オ)1286 / 裁判年月日: 昭和29年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】選挙の投票において、特定の候補者の氏名が正確に記載されていない場合であっても、諸般の事情を考慮して当該候補者に対する投票であると合理的に認められるときは、これを有効投票と解すべきである。 第1 事案の概要:本件は選挙における投票の効力が争われた事案である。係争の投票6票について、特定の候補者Bの氏…
事件番号: 昭和31(オ)237 / 裁判年月日: 昭和31年9月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法上の投票の効力判定において、投票用紙に記載された文字が判読可能であり、かつ候補者の氏名と同一または類似する場合には、当該投票は有効と解される。本判決は、原審の事実認定および効力判定に法令違背がないとして上告を棄却した。 第1 事案の概要:本件は、選挙における各投票の効力が争われた事案であ…
事件番号: 昭和31(オ)325 / 裁判年月日: 昭和31年10月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】普通地方公共団体の選挙管理委員会委員長は、地方自治法に基づき、その権限に属する事務の一部として、委員会の書記等の吏員に対し訴訟代理権限を委任し(いわゆる指定代理人の選任)、訴訟行為を行わせることができる。 第1 事案の概要:上告人は、被上告人である選挙管理委員会との訴訟において、原審で委員会の指定…