判旨
売買契約において、行政庁の承認を効力発生の条件とする旨を合意することは契約自由の原則に基づき有効であり、当該承認が得られなかった場合には、不法条件等の特段の事情がない限り、契約の効力は発生しない。
問題の所在(論点)
行政庁による「承認」という行政行為を売買契約の効力発生条件とする合意の有効性と、当該承認が得られなかった場合の契約の効力。
規範
売買契約において、当事者がその効力発生を将来における行政行為の存否に繋らしめる合意(効力発生条件)をなすことは、原則として自由である。この場合、当該行政行為が存するに至らなかったときは、条件不成就により契約の効力は発生しないと解すべきである。
重要事実
鉱業権者であった上告人とDとの間で、鉱山設備資材の売買契約が締結された。当時、政府は資材の移動を鉱山監督局長の承認に繋らしめる統制措置を採っており、両当事者は、当該局長の承認を本件売買契約の効力発生条件とする合意をした。その後、上告人が一部代金を支払う等の事実はあったが、結局、所轄監督局長の承認は得られなかった。上告人は、動産の所有権が移転したことを前提に、被上告人に対して請求を行った。
あてはめ
本件売買契約において、鉱山監督局長の承認を効力発生条件とする合意がなされた事実は、代金支払期のみに関するものではなく、契約全体の効力に関わるものである。上告人が承認前に代金の一部を支払った事案があるが、これは承認が得られると信じたためになされたものにすぎず、合意の趣旨(条件)を変更するものではない。結局、実質的に承認は存在しないため、条件は成就していない。本件において不法条件等の特段の主張も認められない以上、本件契約の効力は発生していないといえる。
結論
行政行為の存在を効力発生条件とする合意は有効であり、承認が得られなかった以上、売買契約の効力は発生せず、目的物の所有権移転も認められない。
事件番号: 昭和35(オ)998 / 裁判年月日: 昭和37年4月20日 / 結論: 棄却
所有者から物の占有権限を伝来取得したと主張する占有者は、前主たる所有者に対して民法第一八八条の権利推定を援用しえないと同様に、右所有者の包括承継人に対しても、これを援用できない。
実務上の射程
契約自由の原則(民法521条)を背景に、強行法規違反や不法条件(民法90条、132条)に当たらない限り、行政上の許可・承認を停止条件とする契約が有効であることを示す。答案上は、農地法上の許可が必要な売買や、各種許認可を前提としたビジネス契約の効力発生時期を論ずる際の一般的法理として活用できる。
事件番号: 昭和38(オ)1027 / 裁判年月日: 昭和39年10月16日 / 結論: 棄却
控訴審が第一審と同一の証拠資料をもつて心証を異にしても、何ら違法でない。
事件番号: 昭和28(オ)363 / 裁判年月日: 昭和31年4月6日 / 結論: 棄却
一 鉱業権の売買契約において、買主が排水探鉱の結果品質良好と認めたときは代金を支払い、品質不良と認めたときは代金を支払わない旨を約しても、右売買契約は、民法第一三四条にいわゆる条件が単に債務者の意思のみにかかる停止条件附法律行為とはいえない。 二 売買契約成立後貨幣価値が著しく変動しても、それだけで代金額が当然修正され…