判旨
組合の共同事業の用に供する目的で買い受けられた土地は、登記名義のいかんに関わらず組合財産として組合員の共有に帰する。また、組合員の合意や承認により持分が放棄された場合、当該土地は特定の者の単独所有に帰する。
問題の所在(論点)
組合の事業のために組合員の出資金で購入された不動産の帰属、および組合員間の合意による持分放棄に伴う所有権の所在が問題となる。
規範
共同事業を営む目的で結成された組合において、組合員が出資した資金をもって、その事業の用に供する目的で不動産を買い受けた場合、当該不動産は組合財産となり、組合員の共有(民法668条)に帰する。その後、各組合員が自己の持分を放棄し、特定の組合員の所有とすることを承認した場合には、当該不動産はその者の単独所有に帰属する。
重要事実
被上告人、上告人、訴外Dの3名は、アイスケーキ製造販売業を共同で営むことを約した(組合契約)。この共同事業の用に供するため、被上告人が出資金4万500円を上告人に交付し、上告人がその資金で本件土地を買い受けた。その後、共同事業が失敗に終わったため、負債の整理を目的とする協議が行われた。その際、上告人は出資金返還請求権を免除される代償として、本件土地につき被上告人の完全な所有権を認め、出資金の返還を請求しない旨の契約を締結した。また、Dも本件土地が被上告人の所有であることを承認した。
あてはめ
まず、本件土地は被上告人の出資金により共同事業の目的で購入されたものであるから、登記名義に関わらず組合財産として3名の共有に帰していたといえる。次に、事業失敗後の整理協議において、上告人は債務引受の代償として被上告人の完全な所有権を認め、出資金返還を求めない旨合意している。これは、上告人が共有関係における自己の持分を放棄し、被上告人の単独所有を承認したものと評価できる。さらに、Dも無償使用を許諾される等の経緯から、被上告人の所有権を承認しており、Dの持分放棄も認められる。
結論
本件土地は、共有者であった上告人およびDが持分を放棄したことにより、被上告人の単独所有に帰したといえる。
事件番号: 昭和31(オ)581 / 裁判年月日: 昭和32年4月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】組合員が組合のために土地を買い受けた場合、登記の名義にかかわらず当該土地は組合財産となり、組合員の合有(共有)に属する。また、組合の清算過程で他の全組合員が持分を放棄し、特定の組合員がその所有を承諾されたときは、当該土地はその組合員の単独所有に帰する。 第1 事案の概要:被上告人、訴外D、同Eの3…
実務上の射程
組合財産の合有(実務上は共有)関係の成立と、その解消・帰属の認定に関する判断枠組みを示すものである。民法668条の組合財産の法的性質が共有であることを前提としつつ、明示的または黙示的な持分放棄の合意によって、特定の組合員への権利承継を肯定する際の論理として有用である。
事件番号: 昭和32(オ)636 / 裁判年月日: 昭和34年7月14日 / 結論: 棄却
夫婦間の合意で、夫の買い入れた土地の登記簿上の所有名義人を妻としただけでは、右の土地を妻の特有財産と解すべきではない。
事件番号: 昭和33(オ)718 / 裁判年月日: 昭和36年5月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者が主張していない契約条件(代金決済方法等)を認定して売買契約の効力を認めることは、当事者の主張・立証の範囲内であれば弁論主義に反しない。また、特定の買戻し合意や代金決済合意を含む売買契約であっても、直ちに公序良俗に反して無効となるものではない。 第1 事案の概要:被上告人(原告)は上告人(被…
事件番号: 昭和31(オ)582 / 裁判年月日: 昭和32年4月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】組合員が組合の共同事業のために買い受けた土地は、登記名義にかかわらず組合財産として組合員の共有に属するが、他の組合員全員が持分を放棄し特定の組合員の単独所有とすることを承認した場合には、当該組合員の単独所有に帰する。 第1 事案の概要:被上告人、D、Eの3名は、アイスケーキ製造販売の共同事業(組合…
事件番号: 昭和31(オ)1070 / 裁判年月日: 昭和32年12月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】権利能力なき社団の代表者が、社団のために自己の名において締結した契約の効果は、当該社団の構成員全員に帰属する。 第1 事案の概要:被上告人は、権利能力なき社団である「懇話会」の代表者であり、同会の活動に関連して上告人との間で売買契約を締結した。この際、被上告人は同会の会員全員のために、自己の名にお…