判旨
権利能力なき社団の代表者が、社団のために自己の名において締結した契約の効果は、当該社団の構成員全員に帰属する。
問題の所在(論点)
権利能力なき社団の代表者が「構成員全員のために自己の名において」締結した契約の効力が、構成員全員に帰属するか、あるいは代表者個人に帰属するかが争点となった。
規範
権利能力なき社団の代表者が、社団の目的を達成するために必要な権限に基づき、構成員全員のために自己の名において第三者との間で契約を締結した場合、その契約上の権利義務は構成員全員に帰属する。
重要事実
被上告人は、権利能力なき社団である「懇話会」の代表者であり、同会の活動に関連して上告人との間で売買契約を締結した。この際、被上告人は同会の会員全員のために、自己の名において当該契約を締結した。その後、契約の効力帰属を巡って争いが生じた。
あてはめ
被上告人は、原判決の認定によれば、本件売買契約を締結する権限を有していた。そして、被上告人は、個人の利益のためではなく、懇話会員全員のために自己の名において契約を締結している。このような態様による契約締結は、実質的に社団の活動としてなされたものであり、その効果を構成員全員に帰属させるのが相当である。
結論
本件売買契約は、被上告人が構成員全員のために自己の名において締結したものであり、その効果は構成員全員に帰属する。したがって、上告人の請求は認められない。
実務上の射程
権利能力なき社団の対外取引における法的構成を示すものである。組合の規定(民法667条以下)を類推適用し、総有的な権利義務の帰属を認める際の構成として、代表者が「構成員全員のために自己の名で」契約する形式が有効であることを判示している。答案上は、社団の債務が構成員全員に帰属することを論証する際に、代表者の代理権または本判決の構成を援用する。
事件番号: 昭和50(オ)702 / 裁判年月日: 昭和55年2月8日 / 結論: 棄却
権利能力なき社団の複数の代表者の各々が構成員の総有に属する不動産について構成員から信託的に管理権限を与えられている場合であつても、その不動産が右社団にとつて重要な資産であり、代表者全員の共有名義とされているなど、判示の事情があるときには、各代表者は、代表者全員の合意に基づくのでなければ、右管理権限に基づき右不動産につき…
事件番号: 昭和34(オ)650 / 裁判年月日: 昭和41年11月25日 / 結論: その他
入会権確認の訴は、入会権が共有の性質を有するかどうかを問わず、入会権者全員で提起することを要する固有必要的共同訴訟である。
事件番号: 昭和33(オ)517 / 裁判年月日: 昭和36年12月15日 / 結論: 棄却
不動産の買主が、その売主の相続人に対し、売買を原因として、当該不動産について所有権移転登記を求める訴訟は、その相続人が数人いるときでも、必要的共同訴訟ではない。
事件番号: 昭和31(オ)583 / 裁判年月日: 昭和32年4月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】組合の共同事業の用に供する目的で買い受けられた土地は、登記名義のいかんに関わらず組合財産として組合員の共有に帰する。また、組合員の合意や承認により持分が放棄された場合、当該土地は特定の者の単独所有に帰する。 第1 事案の概要:被上告人、上告人、訴外Dの3名は、アイスケーキ製造販売業を共同で営むこと…
事件番号: 昭和41(オ)60 / 裁判年月日: 昭和41年12月1日 / 結論: 棄却
不動産の処分を委ねられた者が、代理の形式によらず自己の名で該不動産を第三者に譲渡した場合でも、所有権は本人から該第三者に移転する。