入会権確認の訴は、入会権が共有の性質を有するかどうかを問わず、入会権者全員で提起することを要する固有必要的共同訴訟である。
入会権確認の訴は固有必要的共同訴訟か
民法263条,民法294条,民訴法62条
判旨
入会権に関する訴えは、権利者全員が共同してのみ提起しうる固有必要的共同訴訟であり、一部の者による提起は当事者適格を欠き不適法となる。また、部落としての団体的占有を基礎として、各構成員が個人的な民法上の共有権を時効取得することは認められない。
問題の所在(論点)
1. 入会権の確認や総有権に基づく登記請求は、一部の権利者のみで提起できるか(固有必要的共同訴訟の成否)。 2. 部落としての団体的占有を基礎に、構成員個人が民法上の共有持分を時効取得できるか。
規範
1. 入会権は、その性質が共有であるか否かを問わず、一定の部落民に総有的に帰属するものである。したがって、入会権の確認請求や総有権に基づく登記抹消請求は、権利者全員が共同して提起しなければならない固有必要的共同訴訟である。 2. 民法上の共有権の時効取得には、個人的な占有が必要である。部落等の団体による団体的占有を基礎として、構成員が個人的な共有持分を時効取得することはできない。
重要事実
上告人ら(部落住民の一部)は、本件土地につき、①各持分330分の1の移転登記(時効取得を理由とする第一次請求)、②総有権に基づく所有権取得登記の抹消(第二次請求)、③入会権の確認(第四、五次請求)などを求めて提訴した。これに対し、本件土地の占有は部落民全員ないし団体としての占有であったこと、また、提訴が部落民全員ではなく一部の者によってなされたことが問題となった。
事件番号: 昭和42(オ)524 / 裁判年月日: 昭和43年11月15日 / 結論: 棄却
部落民全員が、その総有に属する土地について、入会権者として登記の必要に迫られ、単に登記の便宜から、右部落民の一部の者のために売買による所有権移転登記を経由した場合には、民法第九四条第二項の適用または類推適用がない。
あてはめ
1. 入会権(総有)の確認請求等は、権利の性質上、権利者全員が一致して行使すべきものであるところ、本件では部落民全員ではなく一部の者によって提起されている。よって、当事者適格を欠き不適法である。 2. 時効取得の主張について、上告人らが主張する占有は「部落民全員」または「団体的占有」である。しかし、民法上の共有権は個人的色彩の強い権利であり、このような団体的占有から個人的な持分権が発生すると解する余地はないため、主張自体失当である。
結論
入会権等の請求は全員で行う必要があり、一部による提訴は却下される。また、団体的占有を理由とする個人の共有権時効取得は認められず、棄却される。
実務上の射程
総有(入会権)の対外的行使が固有必要的共同訴訟であることを明示した重要判例である。答案上は、入会権の帰属が問題となる場面で、保存行為(民法252条ただし書)の法理が適用されず、全員による提訴が必要となる根拠として引用する。また、時効取得における「占有の態様」と「取得する権利」の対応関係を論じる際にも参照しうる。
事件番号: 昭和33(オ)517 / 裁判年月日: 昭和36年12月15日 / 結論: 棄却
不動産の買主が、その売主の相続人に対し、売買を原因として、当該不動産について所有権移転登記を求める訴訟は、その相続人が数人いるときでも、必要的共同訴訟ではない。
事件番号: 昭和42(オ)30 / 裁判年月日: 昭和43年4月4日 / 結論: 棄却
共有者の一人が、権限なく、共有物を自己の単独所有に属するものとして他に売り渡した場合でも、売買契約は有効に成立し、自己の持分をこえる部分については、他人の権利の売買としての法律関係を生ずるとともに、自己の持分の範囲内においては、約旨に従つた履行義務を負う。
事件番号: 昭和29(オ)354 / 裁判年月日: 昭和31年6月5日 / 結論: 棄却
未登記建物の譲受人は譲渡人に対し移転登記の請求をなすことを妨げない。
事件番号: 昭和31(オ)1070 / 裁判年月日: 昭和32年12月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】権利能力なき社団の代表者が、社団のために自己の名において締結した契約の効果は、当該社団の構成員全員に帰属する。 第1 事案の概要:被上告人は、権利能力なき社団である「懇話会」の代表者であり、同会の活動に関連して上告人との間で売買契約を締結した。この際、被上告人は同会の会員全員のために、自己の名にお…