未登記建物の譲受人は譲渡人に対し移転登記の請求をなすことを妨げない。
未登記建物の譲受人のなす移転登記の請求。
不動産登記法106条
判旨
未登記建物の買主は、売主に対し保存登記を経た上での移転登記請求が可能であり、また一筆の土地の一部であっても具体的に特定されていれば分筆登記未了でも所有権の取得が可能である。
問題の所在(論点)
1. 未登記建物の所有権取得者が、売主に対して直接、移転登記手続(保存登記を経た上での移転登記)を請求できるか。2. 一筆の土地の一部を目的とする売買において、分筆手続前であっても所有権移転の効力が生じるか。
規範
1. 未登記不動産の譲受人は、自ら保存登記をなすこともできるが、前所有者に対して所有権移転登記手続を請求することも妨げられない。この場合、前所有者は保存登記をなした上で移転登記をなすべき義務を負う。2. 一筆の土地の一部を目的とする売買において、当該部分が具体的に特定されている限り、分筆手続未了であっても買主は当該部分の所有権を取得できる。
重要事実
上告人(売主)と被上告人(買主)との間で、未登記建物の売買および一筆の土地の一部を目的とする売買が行われた。買主が売主に対し、建物については所有権移転登記手続を、土地の一部については所有権の移転を求めて提訴した事案である。売主側は、未登記建物については買主自ら保存登記をなすべきであることや、分筆未了の土地一部には所有権移転の効力が生じないことなどを理由に争った。
事件番号: 昭和29(オ)464 / 裁判年月日: 昭和31年5月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件不動産の所有権移転登記が寄託の趣旨でなされたとの主張に対し、原審がそのような事実を認定していない以上、その前提を欠く論旨は上告理由として認められない。 第1 事案の概要:上告人は、本件不動産の所有権移転登記が「寄託」の意味でなされたものであると主張し、原判決の判断を不服として上告した。しかし、…
あてはめ
1. 未登記建物の所有権が売買で移転した場合、不動産登記法上の単独保存登記の道が開かれているとしても、それは売主に対する移転登記請求権を否定するものではない。売主は契約上の義務として、自ら保存登記を備えた上で買主へ移転登記を行う責務を負うと評価される。2. 土地の一部譲渡については、目的物が具体的に特定されているならば、分筆という形式的手続を待たずとも意思表示のみによって所有権移転の効力が生じると解するのが相当である。
結論
未登記建物の売主は移転登記手続義務を負い、また土地の一部であっても特定されていれば分筆前でも所有権は移転するため、原判決の判断は正当であり上告を棄却する。
実務上の射程
未登記建物の譲受人が、前所有者の協力を得られない場合に「判決による保存登記」を目指すか、あるいは「移転登記請求」を選択するかという実務上の選択肢を裏付ける。また、土地の一部売買における所有権移転時期の原則を示すものであり、分筆登記義務の履行を求める前提となる権利関係を確定する際に活用される。
事件番号: 昭和33(オ)71 / 裁判年月日: 昭和35年3月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】債務者が債権証書を保持していない場合であっても、他の証拠を総合して弁済の事実を認定できるのであれば、特段の違法はない。また、特定の事実が存在しても、当然に占有者が「所有の意思」を有していると認定されるわけではない。 第1 事案の概要:本件において、上告人は債務が既に弁済されていると主張したが、債権…
事件番号: 昭和33(オ)26 / 裁判年月日: 昭和34年7月2日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】売買の予約の成立を認めるためには、その前提となる事実について証拠に基づき合理的に認定する必要があり、供述内容が予約ではなく本契約の成立を指している場合には、予約の成立を認めることはできない。 第1 事案の概要:被上告人(原告)が上告人(被告)から土地200坪を単価140円で購入したと主張し、売買一…
事件番号: 昭和30(オ)869 / 裁判年月日: 昭和35年1月22日 / 結論: 棄却
乙名義で不動産を競落した甲から所有権を取得した丙は、乙に対して移転登記の請求をすることができる。
事件番号: 昭和34(オ)650 / 裁判年月日: 昭和41年11月25日 / 結論: その他
入会権確認の訴は、入会権が共有の性質を有するかどうかを問わず、入会権者全員で提起することを要する固有必要的共同訴訟である。