判旨
本件不動産の所有権移転登記が寄託の趣旨でなされたとの主張に対し、原審がそのような事実を認定していない以上、その前提を欠く論旨は上告理由として認められない。
問題の所在(論点)
不動産の所有権移転登記が寄託の趣旨でなされたかという点について、原審が認定していない事実を前提とした主張が上告理由として認められるか。
規範
不動産の所有権移転登記が特定の法律上の性質(寄託等)を有するか否かは、事実認定の問題であり、原審が認定しない事実を前提として、その法律上の性質を争うことはできない。
重要事実
上告人は、本件不動産の所有権移転登記が「寄託」の意味でなされたものであると主張し、原判決の判断を不服として上告した。しかし、原判決においては、当該登記が寄託の趣旨でなされたという事実は認定されていなかった。
あてはめ
上告人の主張は、本件登記が寄託の趣旨でなされたことを前提としている。しかし、原判決の認定によれば、そのような事実は認められていない。したがって、上告人の論旨は、原判決の認定しない事実を基礎とするか、あるいは原判決の事実認定そのものを非難するものに帰着し、採用の余地がないといえる。
結論
本件登記が寄託の趣旨でなされた事実は認められず、上告は棄却される。
実務上の射程
本判決は極めて簡潔であり、具体的な法律構成の提示というよりは、事実認定を前提としない上告理由の排斥という民事訴訟法上の訴訟運営の原則を示すにとどまる。答案上は、登記の性質(信託的譲渡や寄託的意味合い)を争う際に、事実認定の重要性を示す補助的資料として言及し得るが、具体的な実体法上の規範としての活用場面は限定的である。
事件番号: 昭和29(オ)431 / 裁判年月日: 昭和31年4月3日 / 結論: 棄却
不動産が譲渡担保に供せられたが、被担保債権はいまだ消滅していないという理由で、原告の所有権移転登記の請求を排斥した判決に対し、右不動産は単純に買い受けたもので譲渡担保に供されたものでないと主張してなされた被告からの上告は利益を欠くものである。
事件番号: 昭和33(オ)26 / 裁判年月日: 昭和34年7月2日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】売買の予約の成立を認めるためには、その前提となる事実について証拠に基づき合理的に認定する必要があり、供述内容が予約ではなく本契約の成立を指している場合には、予約の成立を認めることはできない。 第1 事案の概要:被上告人(原告)が上告人(被告)から土地200坪を単価140円で購入したと主張し、売買一…
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【結論(判旨の要点)】最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律所定の上告理由のいずれにも該当せず、かつ法令の解釈に関する重要な主張も含まれない場合には、上告が棄却される。 第1 事案の概要:上告人が民事上告を提起したが、その主張(論旨)が当時の特例法1号から3号までのいずれの事由にも該当せず、かつ、法令の…
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未登記建物の譲受人は譲渡人に対し移転登記の請求をなすことを妨げない。
事件番号: 昭和31(オ)788 / 裁判年月日: 昭和33年8月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が認定した事実のうち、主要事実に付加されたに過ぎない事実の認定に違法があったとしても、そのことが主要事実の認定を左右しない限り、判決に影響を及ぼす違法とはならない。 第1 事案の概要:上告人が訴外Dのために本件宅地を借り受ける交渉を被上告人になしたという事実が原審で認定された。上告人はこの事…