不動産の処分を委ねられた者が、代理の形式によらず自己の名で該不動産を第三者に譲渡した場合でも、所有権は本人から該第三者に移転する。
不動産の処分を委ねられた者が自己の名で譲渡した場合本人に効力が及ぶか
民法99条
判旨
不動産所有者が他者に対し当該物件の管理および処分権を委ねていた場合、受任者が締結した匿名組合契約に基づく現物出資により、当該物件の所有権は営業者に帰属する。
問題の所在(論点)
不動産の所有者から管理・処分権を委ねられた者が、匿名組合契約に基づき当該不動産を現物出資した場合、その所有権は営業者に帰属するか。
規範
不動産の所有者が、第三者に対して当該物件の管理のみならず処分権限まで包括的に委ねていると認められる特段の事情がある場合には、受任者が行った処分行為(現物出資等)の効果は本人に帰属し、相手方はその所有権を取得する。
重要事実
上告人(妻)は、本件土地の所有者であったが、その管理および処分権を夫である訴外Dに委ねていた。その後、Dと被上告人との間で本件匿名組合契約が締結され、その契約に基づき本件土地が当該匿名組合に対する現物出資の対象とされた。
あてはめ
事件番号: 昭和39(オ)1227 / 裁判年月日: 昭和41年1月21日 / 結論: 棄却
家事一切を処理するについて夫を代理して法律行為をする権限が与えられ、従つて夫の所有不動産を夫に代理して管理する権限をも与えられていた妻が、右代理権限を超えてなした不動産売却行為については、判示事実関係のもとで、表見代理が成立する。
本件では、上告人が夫であるDに対し、単なる管理に留まらず本件土地の「処分権」までも委ねていたという事実が認められる。このような包括的な代理権(または処分権限)の授与がある以上、Dが被上告人との間で締結した匿名組合契約に基づく現物出資という処分行為は、上告人の意図に基づく正当な権限行使の範囲内といえる。したがって、当該出資によって本件土地の所有権が営業者である被上告人に移転したとする判断は正当である。
結論
本件土地は匿名組合に対する現物出資として被上告人の所有に帰したと認められるため、上告人の請求は認められない。
実務上の射程
本判決は、代理権の範囲や処分権限の帰属が問題となる事案において、包括的な処分権限の委託があった場合の物権変動を認める一例として活用できる。答案上は、民法103条各号の範囲を超える「処分行為」であっても、本人から処分権限の授与があれば有効に成立することを論証する際に、事実認定の帰結を基礎付ける根拠として引用し得る。
事件番号: 昭和42(オ)30 / 裁判年月日: 昭和43年4月4日 / 結論: 棄却
共有者の一人が、権限なく、共有物を自己の単独所有に属するものとして他に売り渡した場合でも、売買契約は有効に成立し、自己の持分をこえる部分については、他人の権利の売買としての法律関係を生ずるとともに、自己の持分の範囲内においては、約旨に従つた履行義務を負う。
事件番号: 昭和40(オ)128 / 裁判年月日: 昭和40年10月15日 / 結論: 棄却
原審が本件売買契約に関し確定した諸般の事情のもとでは、同契約が民法第七六一条にいわゆる「日常の家事」に属するものとはいえない旨の原審の判断は正当である。
事件番号: 昭和38(オ)960 / 裁判年月日: 昭和41年2月17日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】訴訟代理人が上告取下および復代理人選任の特別授権を受けている場合、当該代理人から適法に復任された復代理人が行う上告取下げは、本人が直接復代理人に授権していなくとも有効である。 第1 事案の概要:上告人らは弁護士Eに対し、上告取下げおよび復代理人選任の特別授権を含む訴訟委任をしていた。Eは、相手方と…
事件番号: 昭和37(オ)1410 / 裁判年月日: 昭和39年2月13日 / 結論: 棄却
所有権転移仮登記の権利者が、仮登記後所有権取得登記を経た第三者に対し、右登記の抹消登記手続を請求した場合、裁判所が、仮登記に基づく本登記手続につき承諾を命ずる判決をしても、民訴法第一八六条に違反しない。