上告取下による訴訟終了の有無に関する争いにつき最高裁判所が終局判決をした事例
判旨
訴訟代理人が上告取下および復代理人選任の特別授権を受けている場合、当該代理人から適法に復任された復代理人が行う上告取下げは、本人が直接復代理人に授権していなくとも有効である。
問題の所在(論点)
訴訟代理人から適法に選任された復代理人が、特別授権事項である「上告の取下げ」を行った場合、本人に対する効力が認められるか。
規範
訴訟代理人は、上告の取下げおよび復代理人の選任について特別の委任(民事訴訟法55条2項各号参照)を受けている場合、その権限の範囲内において適法に復代理人を選任し、当該復代理人に訴訟行為を行わせることができる。この場合、復代理人がした訴訟行為の効力は直接本人に帰属する。
重要事実
上告人らは弁護士Eに対し、上告取下げおよび復代理人選任の特別授権を含む訴訟委任をしていた。Eは、相手方との示談交渉に適任と判断した弁護士Dに対し、本件の処理および示談締結を復委任した。Dは上告人A3と共に相手方と交渉し、立退料受領と引き換えに上告を取り下げる旨の示談を締結。Dは、A3から預かった各上告人の印章を用いて作成した委任状を添えて、上告取下書を提出した。これに対し、上告人らはDへの直接の授権がないことや意思表示の瑕疵等を理由に取下げの無効を主張した。
あてはめ
まず、弁護士Eは上告人らから上告取下げおよび復代理人選任の特別授権を適法に受けている。次に、Eはその権限に基づき、弁護士Dに対して本件紛争一切を処理する復代理の委任を行っており、Dは適法な復代理権を有する。Dが行った上告取下げは、Eから受けた復代理権の範囲内で行われたものであり、上告人A3が交渉に立ち会い、他の上告人らから直接の了解を得ていなかったとしても、代理権の連鎖に瑕疵はない。また、意思表示の瑕疵(強迫・錯誤等)を認めるに足りる証拠もない。
事件番号: 昭和41(オ)60 / 裁判年月日: 昭和41年12月1日 / 結論: 棄却
不動産の処分を委ねられた者が、代理の形式によらず自己の名で該不動産を第三者に譲渡した場合でも、所有権は本人から該第三者に移転する。
結論
本件上告は、適法な権限を有する復代理人Dによる取下げにより、有効に終了した。
実務上の射程
特別授権事項(上告取下、和解、取下げ等)についても、復代理人選任の特別授権があれば、復代理人によってこれらを行使できることを示した実務上重要な判断である。答案上は、代理権の有無が争点となる場面で、復任権の有無と特別授権の関係を整理して論述する際に活用できる。
事件番号: 昭和28(オ)362 / 裁判年月日: 昭和31年5月22日 / 結論: 破棄差戻
父に代り世帯主として家政一切を処理している長男が、父に無断でその所有の山林を売却した場合において、右長男がその以前にも同一相手方に対し父所有の山林を売却しその履行が無事完了されているような事実があるときは、右相手方が売主家出入りの者であつて右売買の事実につき直接父に確めなかつたとしても、相手方に必ずしも右長男に山林売買…
事件番号: 昭和36(オ)760 / 裁判年月日: 昭和38年10月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】表示行為に対応する真意がないことを表意者が自覚しながら行う心裡留保(民法93条)の成否について、表意者が登記名義の移転や付随する契約の締結を十分承認して行っていた場合には、有効な贈与の成立を認めることはできない。 第1 事案の概要:上告人は、被上告人から本件建物の贈与を受けたと主張し、所有権移転の…
事件番号: 昭和36(オ)601 / 裁判年月日: 昭和38年9月3日 / 結論: 棄却
書面によらない負担付贈与契約に基づき当事者の一方が債務を履行したときは、書面によらない贈与であることを理由にこれを取消すことはできない。
事件番号: 昭和30(オ)1009 / 裁判年月日: 昭和31年11月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者である会社が合併により消滅した場合であっても、訴訟代理人が存在するときは、民事訴訟法124条2項(現行法。旧法213条)により訴訟手続は中断しない。 第1 事案の概要:第一審被告(被控訴人)であるD銀行について、原審(控訴審)の口頭弁論終結後に合併による消滅が生じた。これに伴い、合併による承…