判旨
当事者である会社が合併により消滅した場合であっても、訴訟代理人が存在するときは、民事訴訟法124条2項(現行法。旧法213条)により訴訟手続は中断しない。
問題の所在(論点)
訴訟の当事者である会社が口頭弁論終結後に合併により消滅した場合において、訴訟代理人が存在するときに、訴訟手続が中断するか、および旧当事者を表示した判決が適法か。
規範
当事者が死亡その他の事由により訴訟手続を続行することができない状態(中断事由)が生じた場合であっても、当該当事者に訴訟代理人が選任されているときは、訴訟手続は中断しない(民事訴訟法124条2項)。この場合、判決における当事者の表示は、原則として中断事由発生前の旧当事者をそのまま表示しても違法ではない。
重要事実
第一審被告(被控訴人)であるD銀行について、原審(控訴審)の口頭弁論終結後に合併による消滅が生じた。これに伴い、合併による承継の申立てがなされたが、原審は当該申立てに対する裁判を行うことなく、従前のD銀行を被控訴人と表示したまま判決を言い渡した。なお、D銀行には訴訟代理人たる弁護士が存在していた。
あてはめ
本件では、被控訴人であるD銀行に訴訟代理人(弁護士)が存在していた。民事訴訟法124条2項(旧213条)の規定によれば、訴訟代理人が選任されている場合には、当事者の消滅(合併)という中断事由が発生しても、直ちに訴訟手続は中断しないものと解される。したがって、原審が承継の申立てについて特段の裁判をせず、合併前のD銀行を当事者として表示して判決を言い渡したことに手続上の違法は認められない。
結論
訴訟代理人が存在する場合、合併による当事者の消滅が生じても訴訟手続は中断せず、旧当事者を表示してなされた判決は適法である。
実務上の射程
事件番号: 昭和32(オ)563 / 裁判年月日: 昭和33年9月19日 / 結論: 棄却
被相続人の訴訟代理人であつた者は、被相続人の死亡による訴訟承継の結果、新たに当事者となつた相続人の訴訟代理人として訴訟行為をなすことができるものと解すべきである。
当事者の死亡や合併が生じた場合の訴訟手続の停止・中断(民訴法124条以下)に関する基本判例である。答案上は、受継手続の要否を検討する際、124条2項に基づき「訴訟代理人がいる場合は中断しない」ことを示す根拠として活用する。また、表示訂正の要否や判決の効力の帰属先を論じる際の前提知識となる。
事件番号: 昭和30(オ)869 / 裁判年月日: 昭和35年1月22日 / 結論: 棄却
乙名義で不動産を競落した甲から所有権を取得した丙は、乙に対して移転登記の請求をすることができる。
事件番号: 昭和39(オ)900 / 裁判年月日: 昭和40年2月11日 / 結論: 棄却
「被上告人が甲を代理人とし一二月初め代物弁済予約完結の意思表示をした」との主張に対し、裁判所が、被上告本人が一二月二七日頃代物弁済予約完結の意思表示をしたと認定しても、弁論主義に反しない。
事件番号: 昭和39(オ)919 / 裁判年月日: 昭和40年3月11日 / 結論: 棄却
不動産を目的とする代物弁済の予約完結の意思表示がなされたときは、これにより、該不動産の所有権移転の効果が生ずるものと解すべきである。
事件番号: 昭和32(オ)619 / 裁判年月日: 昭和34年12月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民法110条にいう「正当の理由」とは、第三者(相手方)において代理人に権限があると信ずるにつき過失がないことを意味し、過失がある場合には表見代理は成立しない。 第1 事案の概要:上告人(相手方)は、代理権を欠く者との間で取引を行ったが、原審において、当該代理人に権限があると信ずるにつき上告人に過失…