判旨
控訴審において請求の減縮がなされた場合、減縮部分は初めから係属しなかったものとみなされ、第一審判決のうち当該部分は当然に効力を失う。控訴審は、残余の部分について理由がないと判断するときは、控訴棄却の判決をすべきである。
問題の所在(論点)
控訴審において請求の減縮が行われた場合における、減縮された部分の第一審判決の効力、および控訴審が言い渡すべき判決の形式が問題となる。
規範
請求の減縮は、その性質上、訴えの一部取下げとしての性質を有する。したがって、控訴審において請求を減縮したときは、その減縮された部分については初めから訴訟係属がなかったものとみなされ、当該部分に対する第一審判決は当然にその効力を失う。控訴は、減縮後の残余の部分のみを対象とするものとなるため、当該部分について第一審判決を変更すべき理由がない場合には、控訴を棄却すべきである。
重要事実
上告人は、第一審判決に対して控訴を提起し、その控訴審の手続において請求の一部を減縮した。その後、控訴審裁判所は、残余の請求部分について検討した結果、第一審判決を変更する理由がないと判断し、控訴棄却の判決を言い渡した。これに対し、上告人が上告を提起したものである。
あてはめ
本件において、上告人は控訴審で請求の減縮を行っている。この減縮により、減縮された部分については訴訟係属が遡及的に消滅し、対応する第一審判決の判断も失効している。審理の対象は減縮後の残余の部分に限定されるところ、控訴審において当該残余部分に関する第一審の判断に誤りがないと認められるのであれば、第一審判決を維持し、控訴そのものを排斥する控訴棄却判決を選択することが適法であると解される。
結論
控訴審での請求減縮により、減縮部分は初めから係属しなかったものとみなされ、第一審判決の当該部分は当然に失効する。残余の部分に理由がないときは、控訴棄却の判決をすべきである。
実務上の射程
訴えの変更(請求の減縮)があった場合の既判力の範囲や、第一審判決の処置に関する基本判例である。答案上は、控訴審での一部取下げ(減縮)があった場合に「第一審判決の当該部分は当然に失効する」ため、主文で第一審判決を取り消す必要はなく、残余の部分について控訴棄却すれば足りるという実務上の処理を正当化する際に用いる。
事件番号: 昭和27(オ)148 / 裁判年月日: 昭和31年11月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において請求の趣旨を減縮した場合は訴の一部取下げにあたり、当該部分に関する第一審判決は当然に効力を失うため、裁判所は第一審判決を特に取り消すことなく、控訴棄却の判決をすることができる。 第1 事案の概要:被上告人(一審原告)が、第一審判決後に控訴審(原審)において損害金の率を変更し、請求を減…