判旨
清算中の会社が、債務消却を目的として設立された別会社を介し、債権回収等の便宜のために手形を取得する行為は、清算の目的の範囲内の行為として有効である。
問題の所在(論点)
清算中の会社が、自らの債務消却を目的として設立された会社を介して手形を取得する行為が、会社法(旧商法)上の清算の目的の範囲内の行為(権利能力の範囲内)といえるか。
規範
清算中の会社の能力は、清算の目的の範囲内に限定されるが、清算目的を達成するために必要かつ相当な行為、例えば債権の取立てや債務の弁済、及びそのための便宜を図る行為は、目的の範囲内の行為として認められる。
重要事実
清算中の被上告会社は、E鉱業に対する債務弁済消却を主目的として設立されたD興産を介し、上告会社が代金減額分返還のために振出した受取人欄白地の約束手形について、D興産が被上告会社を受取人として補充した上で交付を受けた。上告会社は、本件手形の取得は被上告会社の清算の目的の範囲外である等と主張して争った。
あてはめ
被上告会社は清算中であったが、本件手形の取得は、その負債消却を主目的として設立されたD興産を介して行われたものである。この手形取得は、被上告会社のE鉱業に対する債務弁済(清算事務)を円滑に進めるための現金化の便宜としてなされたものと評価できる。したがって、当該行為は清算事務を遂行する上で関連性を有しており、清算の目的の範囲内の行為といえる。
結論
被上告会社の手形取得行為は、清算の目的の範囲内の行為として有効であり、上告会社は手形金の支払義務を免れない。
実務上の射程
清算中の会社の権利能力(目的の範囲内)をめぐる判断において、直接的な債権回収・債務弁済だけでなく、それらを円滑に進めるための「便宜上の措置」についても、清算目的に資する限り広く肯定されることを示唆している。
事件番号: 昭和30(オ)333 / 裁判年月日: 昭和32年5月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】会社の権利能力の範囲は、定款記載の目的のみならず、その遂行に直接または間接に必要な行為をも含み、その必要性は抽象的客観的な基準によって判断される。 第1 事案の概要:合資会社A製陶所は、ある組合の理事を務めていた。同社は、当該組合または関連する取引に関し、連帯保証契約を締結した。これに対し、会社側…