判旨
未墾地の買収において、当該土地が未墾地に該当するか否かは、登記簿等の公簿上の表示にかかわらず、土地の現況によって判断すべきである。
問題の所在(論点)
未墾地買収の対象となる土地の該否を判断する際、公簿上の地目と現況のいずれを基準とすべきか、また開拓適地性の判断基準が問題となった。
規範
自作農創設特別措置法等の規定に基づく未墾地の買収適格性を判断するにあたっては、公簿上の地目(畑、原野等)に拘束されることなく、当該土地の客観的な現況に即して実質的に判断されるべきである。
重要事実
行政庁が本件土地を「未墾地」として買収処分を行ったのに対し、上告人は、本件土地が潮風等の影響により開拓不適地であること、また、公簿上「畑」となっている近隣土地を未墾地として買収した手続の不備等を理由に、買収処分の違法を主張して争った。
あてはめ
本件土地の現況を確認したところ、証人および県農事試験場長による鑑定結果から、本件土地は開墾適地であると認められる。上告人は、公簿上「畑」となっている土地を未墾地として買収した不備を指摘するが、未墾地か否かは現況によって判断されるべきものであり、かつ、指摘の土地は本件買収区域外の土地である。したがって、本件土地の現況が開墾適地である以上、買収処分に違法はない。
結論
本件土地は現況において開墾適地であると認められ、未墾地としての買収処分は適法である。したがって、上告を棄却する。
実務上の射程
行政処分における対象物の属性判断について、形式的な公簿上の記載(形式的真実)よりも実態(実質的真実)を優先する「現況主義」を示したものであり、農地法や税法等の他分野の土地評価の議論においても親和性が高い判旨である。
事件番号: 昭和28(オ)323 / 裁判年月日: 昭和30年1月21日 / 結論: 棄却
大正一二、三年頃杉の伐採跡の伐根を除去し草を刈る等して開墾し全体に桐苗を植え数年間は肥料を施し、時々土を掘起してやわらかくする等昭和一七、八年頃までは引続き手入をし肥培管理をしたが、その後ほとんど手入をせず昭和二二年頃から再び下草を刈る等の手入をし、現在では目通リ直径七寸乃至一尺二寸位高さ七、八間位の桐の木が全区域にわ…
事件番号: 昭和31(オ)504 / 裁判年月日: 昭和32年12月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政庁の裁決の取消しを求める訴訟において、前提となる行政処分が当然無効であるとしても、そのことは裁決の適法性を左右するものではなく、裁決の取消事由とはならない。 第1 事案の概要:上告人は、農地買収計画に対して異議申立ておよび訴願を行ったが、被上告人(県知事)は訴願期間経過後の不適法なものであると…
事件番号: 昭和32(オ)440 / 裁判年月日: 昭和36年5月26日 / 結論: 棄却
未墾地買収においては、買収目的地の実測面積の表示を欠いた買収計画であつても、買収目的地の特定性が動かない限り、違法ではない。
事件番号: 昭和30(オ)756 / 裁判年月日: 昭和31年10月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】未墾地買収処分において、買収区域が買収令書によって特定されていない場合は違法であるが、令書の作成過程や標識設置時期に変更等があっても、直ちに区域が不特定であるとは断定できない。 第1 事案の概要:上告人は、国による本件未墾地買収処分について、その買収区域が不特定であるから違法であり、取り消されるべ…
事件番号: 昭和30(オ)436 / 裁判年月日: 昭和31年5月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において、原審で主張されていない新たな事実や主張を理由に原判決の違法を問うことはできない。本件では、買収計画の区域不確定による違法性や特定の書面の陳述の有無が争点となったが、いずれも原審での主張が認められず、上告が棄却された。 第1 事案の概要:上告人は、農地の買収計画の取消を求めて訴えを提…