判旨
上告審において、原審で主張されていない新たな事実や主張を理由に原判決の違法を問うことはできない。本件では、買収計画の区域不確定による違法性や特定の書面の陳述の有無が争点となったが、いずれも原審での主張が認められず、上告が棄却された。
問題の所在(論点)
上告審において、原審で主張・陳述されていない事実や資料に基づき、原判決の違法を主張することができるか(上告審における新主張の禁止)。
規範
上告審における審理の対象は、原審(控訴審等)の判断の当否であり、当事者が原審において主張しなかった新たな事実関係や、原審で提出・陳述されていない資料に基づいて、原判決の違法を主張することは認められない。
重要事実
上告人は、農地の買収計画の取消を求めて訴えを提起した。上告審において、上告人は①本件買収計画の対象区域が不確定であるため計画が違法である、②特定の準備書面に基づいた主張がある、との理由で原判決を非難した。しかし、記録上、①の主張は原審においてなされたとは認められず、また②の書面も原審で陳述された形跡がなかった。
あてはめ
上告人が主張する「買収計画の区域が不確定であることによる違法性」は、原審の記録によれば請求原因として主張された形跡がない。また、上告人が根拠とする準備書面も、原審で陳述された形跡が全く認められない。このように、原審において適法に提出・陳述されなかった事実や主張を前提に、原判決に違法があるということはできない。
結論
本件買収計画が区域不確定により違法であるとの主張や、陳述されていない書面を前提とする主張は採用できず、原判決に違法はない。よって上告を棄却する。
実務上の射程
事件番号: 昭和32(オ)440 / 裁判年月日: 昭和36年5月26日 / 結論: 棄却
未墾地買収においては、買収目的地の実測面積の表示を欠いた買収計画であつても、買収目的地の特定性が動かない限り、違法ではない。
民事訴訟法における上告審の事後審的性格を裏付ける判例である。答案上は、第1審・第2審で主張し尽くさなかった論点を、上告審で初めて持ち出して判決を覆すことはできないという「攻撃防御方法の提出時期」の制限や、法律審としての性質を論じる際の根拠として用いることができる。
事件番号: 昭和31(オ)504 / 裁判年月日: 昭和32年12月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政庁の裁決の取消しを求める訴訟において、前提となる行政処分が当然無効であるとしても、そのことは裁決の適法性を左右するものではなく、裁決の取消事由とはならない。 第1 事案の概要:上告人は、農地買収計画に対して異議申立ておよび訴願を行ったが、被上告人(県知事)は訴願期間経過後の不適法なものであると…
事件番号: 昭和28(オ)1273 / 裁判年月日: 昭和29年12月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所は、原審が認定した事実関係に基づき、本件土地を開拓適地と判断したことは相当であり、上告理由に当たらないとして上告を棄却した。 第1 事案の概要:上告人らが、本件土地について「開拓適地」であると判断されたこと等の認定に対し、憲法違反や法令違反を主張して上告を提起した事案である。 第2 問題…
事件番号: 昭和36(オ)947 / 裁判年月日: 昭和38年3月15日 / 結論: 棄却
被買収者が農地所在の村で農地委員の選挙権を行使した等の事実があつても、右買収基準時に教師として他村に転任しその学校住宅に家族とともに居住していたという事実関係のもとにおいては、その住所が当該農地の所在地にあつたと認めなければならないものではない。
事件番号: 昭和29(オ)890 / 裁判年月日: 昭和31年6月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分が法令の拘束に反しない限り、裁量の性質(法規裁量・自由裁量)にかかわらず違法とはならない。また、行政機関内部の通達(選定基準)に反しても、直ちに当該処分が違法となるわけではなく、法令の趣旨に照らして判断すべきである。 第1 事案の概要:上告人の所有する未墾地について、自作農創設特別措置法3…