判旨
民事訴訟法第393条第3項(旧法)にいう「仮処分に関してした判決」には、当事者適格の欠如を理由として仮処分申請人を敗訴させた判決も含まれる。
問題の所在(論点)
旧民事訴訟法第393条第3項(現在の民事保全法等に関連する規定)において、上告が制限される「仮処分に関してした判決」に、当事者適格を理由として申請を退けた判決が含まれるか。
規範
「仮処分に関してした判決」の範囲については、条文の文理に加え、仮差押え・仮処分が迅速な処理を要する暫定的処分であることから上告を制限して上告審の負担軽減を図るという立法趣旨を考慮して判断すべきである。したがって、門前払い的な判断であっても、仮処分に関する判決であれば同条項の適用を受ける。
重要事実
仮処分申請人が、原審において当事者適格がないことを理由に敗訴判決を受けた。これに対し、申請人は民事訴訟法第393条第3項の制限を受けない通常の上告が可能であると主張して上告を提起した事案である。
あてはめ
本件判決は、当事者適格の点で仮処分申請人を敗訴させたものである。しかし、同条項の文理上、内容の如何を問わず仮処分に関する判決を指すと解される。また、仮処分は迅速性が要求される暫定的処分であるため、上告を許可せず上告審の負担を軽減すべきという趣旨は、当事者適格等の訴訟要件に関する判断であっても妥当する。
結論
本件判決は「仮処分に関してした判決」に該当し、憲法違反を理由とする特別上告としてのみ適法となり得るが、本件上告理由は実質的に単なる法令違反にすぎないため、棄却される。
実務上の射程
保全手続における上告制限の範囲を広く解認めるものであり、手続の迅速性を優先する実務運用を支える。現在は民事保全法等に整理されているが、保全処分の裁判に対する不服申立ての制限の趣旨を理解する上で重要な判断である。
事件番号: 昭和26(オ)335 / 裁判年月日: 昭和34年1月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】忌避申立てを理由なしとして棄却する決定が確定した場合、訴訟手続の停止をせずになされた判決は当然には無効とならず、また、本案の一・二審で敗訴した事実は民事保全法上の事情変更による取消事由となり得る。 第1 事案の概要:上告人は、控訴審の口頭弁論終結および判決言渡期日の指定がなされた日に、裁判官3名に…
事件番号: 昭和30(テ)14 / 裁判年月日: 昭和32年3月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法上、裁判所の裁判権(上告審の範囲等)に関する事項は、憲法81条の規定を除き、立法府の広範な裁量に委ねられた立法政策の問題である。したがって、仮処分に関する判決に対して通常の上告を認めない民事訴訟法の規定は、憲法32条等に違反しない。 第1 事案の概要:上告人は、仮処分に関する判決に対し通常の上…
事件番号: 昭和31(ク)86 / 裁判年月日: 昭和31年5月4日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】高等裁判所の決定に対する最高裁判所への抗告(特別抗告)は、憲法違反を理由とする場合に限られ、単なる法令違憲を主張する実質が法律判断の是非にある場合は不適法である。また、このような審級制度の制約は、憲法81条の場合を除き立法府の裁量に委ねられており、憲法32条に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人…