判旨
不貞行為を行った配偶者とその不倫相手は、共同不法行為者として、他方の配偶者が被った精神的苦痛を慰謝すべき義務を負う。
問題の所在(論点)
配偶者が不倫相手と共謀または共同して家出し、婚姻関係を破綻させて離婚に至らしめた場合、当該配偶者および不倫相手は、他方の配偶者に対して連帯して慰謝料支払義務を負うか(民法709条、719条)。
規範
夫婦の一方の配偶者と第三者が不貞行為に及んだ場合、それによって婚姻関係が破綻し離婚を余儀なくされたときは、当該配偶者および第三者は共同して、他方の配偶者が被った精神的苦痛について、民法709条および710条、719条に基づき損害賠償責任(慰謝料支払義務)を負う。
重要事実
上告人A1(妻)は、仲人の仲裁により一旦は被上告人(夫)のもとに復帰したが、その後再び家出し、不倫相手である上告人A2のもとに走った。この結果、被上告人はやむなくA1と離婚するに至った。
あてはめ
本件では、A1がA2のもとへ走り、再び家出したという事実がある。この行為は被上告人との婚姻関係を継続し難いものとし、結果として被上告人に離婚を余儀なくさせたといえる。したがって、A1およびA2の行為は被上告人に対する共同不法行為を構成し、それによって生じた精神的苦痛(離婚に伴う慰謝料)を賠償すべき義務があるものと解される。
結論
上告人ら(妻とその不倫相手)は、連帯して被上告人に対し慰謝料支払義務を負う。本件上告は棄却される。
実務上の射程
本判決は、不貞行為および家出の結果として離婚に至った場合の慰謝料請求について、配偶者と不倫相手の共同不法行為責任を認めた基本的事例である。答案上では、離婚に伴う慰謝料の法的性格や、第三者が婚姻関係を侵害した場合の責任追及の根拠として利用できる。
事件番号: 昭和40(オ)1161 / 裁判年月日: 昭和41年4月1日 / 結論: 棄却
甲女が乙の妻であることを知りながら、丙が甲女と情交同棲関係に入つたことによつて、甲乙間の婚姻生活を破壊し、乙をして、右婚姻の解消を決意させた場合には、丙は故意に乙の夫権を侵害したものというべく、これによつて蒙つた乙の精神上の苦痛を慰藉すべき義務がある。