判旨
売買契約の対象が不特定物ではなく特定物であるか否かは、証拠に基づき確定された事実関係を前提として判断されるべき事項である。
問題の所在(論点)
本件売買契約の目的物が、特定物として認められるか。また、その認定が適法か。
規範
売買契約における目的物の特定性は、当事者の意思表示及び契約締結時の諸客観的事情を総合して、具体的な目的物が他の物と区別して指定されているか否かによって判断される。
重要事実
上告人は本件売買が特定物の売買ではないと主張したが、原審は証拠に基づき、当該契約を特定物の売買であると認定した。上告人はこの事実認定を不服として上告した事案である。
あてはめ
原判決が掲げた証拠によれば、本件売買は特定物の売買と認めることができる。上告人の主張は、実質的には原審が行った証拠に基づく事実認定を非難するものにすぎず、上告理由には当たらない。
結論
本件売買を特定物の売買と認めた原判決の認定は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は、特定物と不特定物の区別が事実認定の問題であることを示唆している。答案上は、契約の目的物が「その物の個性に着目して」指定されたか否かを事実関係から分析し、特定物債権(民法400条等)の成否を論じる際の基礎となる。
事件番号: 昭和33(オ)949 / 裁判年月日: 昭和35年11月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】所有権確認及び物件引渡請求の訴えにおいて、係争地が自己の所有地に属するか否かの判断は、境界確定の訴えを要することなく、証拠に基づく裁判所の事実認定によって決することができる。 第1 事案の概要:被上告人(原告)は、本件松丸太材が自己の所有であることの確認と引渡しを求め、上告人(被告)に対し提訴した…
事件番号: 昭和33(オ)937 / 裁判年月日: 昭和36年4月7日 / 結論: 棄却
証拠調の結果と弁論の全趣旨を総合して事実を認定している場合、右弁論の全趣旨が何を指すかが具体的に判示されていなくても、記録を照合すればおのずから明らかであるときは、理由不備の違法はない。
事件番号: 昭和31(オ)926 / 裁判年月日: 昭和32年11月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】売買において代金額を算定する基礎として、目的物の一定の数量を指示してなされた契約は、民法565条(数量指示売買)に該当する。 第1 事案の概要:上告人と相手方との間で本件立木の売買契約が締結された。その際、立木の数量を3万石と明示(指示)し、単価を1石当たり50円と定めて代金額を決定した。後に実際…
事件番号: 昭和27(オ)350 / 裁判年月日: 昭和30年4月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民法242条ただし書にいう権原によって附属させた物の所有権は、公示方法を具備していなくても第三者に対抗することができる。 第1 事案の概要:本判決文には具体的な事案の詳細は記載されていないが、不動産に附属した物(立木等と推認される)の所有権の帰属およびその第三者に対する対抗力が争点となった事案であ…