判旨
外国人が、外資委員会の認可を得ることなく自己の居住用以外の土地を日本人から取得した場合、昭和24年政令第51号に基づき、その所有権取得の効力は生じない。また、その後の法律改正による新設規定の遡及適用も、特段の定めがない限り認められない。
問題の所在(論点)
昭和24年政令第51号の適用期間内において、認可を得ずに日本人から土地を取得した外国人が、その所有権取得の有効性を主張できるか。また、後の法律改正(昭和27年法律第88号)による新設規定を遡及適用して救済される余地があるか。
規範
昭和24年3月15日から昭和27年4月27日までの間、外国人が「自己の居住の用に供するため通常必要と認められる」以外の土地を日本人から取得する際、外資委員会の認可を経ていないときは、当該取得は効力を生じない(昭和24年政令51号3条1項1号、4条)。また、後継の法律において新設された規定の遡及適用は、明文の規定がない限り認められない。
重要事実
外国人である上告人は、昭和26年3月23日、日本人である訴外Dから本件土地を買い受け、同日付で所有権移転登記を完了した。しかし、当該土地取得について外資委員会の認可を得ていなかった。上告人は本件土地を占有する被上告人に対し、所有権に基づき明け渡し等を求めたが、原審は上記政令に基づき所有権取得の効力を否定したため、上告人が上告した。
あてはめ
上告人が本件土地を取得したのは昭和26年3月であり、昭和24年政令第51号の効力存続期間内である。本件土地は、同政令が認可不要とする「自己の居住の用に供するため通常必要と認められる土地」に該当しない。したがって、外資委員会の認可を欠く本件取得は効力を生じない。さらに、昭和27年法律第88号による新設規定(23条の2)については、同法に遡及適用の定めがないため、本件取得時に遡って適用することはできない。
結論
上告人の本件土地所有権取得はその効力を生じない。したがって、上告人の請求は認められず、上告を棄却する。
事件番号: 昭和51(オ)478 / 裁判年月日: 昭和52年3月31日 / 結論: 破棄差戻
建物所有を目的とする土地賃貸借の賃借人が、賃借地上の建物に登記をしていないため、賃借地を買い受けた者に対し、形式的には、その賃借権をもつて対抗することができない場合であつても、右登記をしていなかつたことに宥恕されるべき事情があり、また、土地の買受人が、賃借権に対抗力のないことを奇貨として、賃借人に対し土地の明渡しを求め…
実務上の射程
戦後の外資規制下における外国人による権利取得の有効性に関する判断である。法令の適用時期および「居住用」という除外事由の有無、新法遡及適用の可否という三段階の検討枠組みを提示している。現代の実務での直接の適用場面は限定的だが、強行法規違反による私法上の行為の無効判断や、法改正の遡及適用の限界を示す際の論拠として参照し得る。
事件番号: 昭和32(オ)659 / 裁判年月日: 昭和33年5月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】権利の行使が権利の濫用に該当するか否かは、確定された事実関係に基づき、客観的・総合的な諸事情を照らして判断される。本件においては、原審の認定した事実の範囲内では権利の濫用とは認められないと判断された。 第1 事案の概要:上告人らは、被上告人による本訴請求が権利の濫用にあたると主張して争った。原審は…
事件番号: 昭和26(オ)719 / 裁判年月日: 昭和28年6月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】建物収去土地明渡請求が権利の濫用に該当するか否かは、個別の事案における事実関係に基づいて判断される。本件のような事実関係の下では、当該請求が民法1条3項にいう権利の濫用に当たらないことは明白である。 第1 事案の概要:上告人は、被上告人による本件建物の収去及び土地の明渡請求について争い、その請求が…
事件番号: 昭和30(オ)349 / 裁判年月日: 昭和31年11月15日 / 結論: 棄却
調停の代理人たる弁護士に弁護士法第二六条違反の行為があつても、それによつてされた調停は当然無効ではない。
事件番号: 昭和31(オ)755 / 裁判年月日: 昭和32年6月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】権利濫用の抗弁は、その前提となる権利(賃借権等)の取得が認められない場合には、判断の対象とならない。また、控訴審で主張していない事実を前提とした判断遺脱の主張は、上告理由として認められない。 第1 事案の概要:上告人は、本件土地について賃借権を取得したと主張し、その上で権利濫用の抗弁を提出した。し…