調停の代理人たる弁護士に弁護士法第二六条違反の行為があつても、それによつてされた調停は当然無効ではない。
代理人の弁護士法第二六条違反行為によつてされた調停の効力
弁護士法26条
判旨
罹災都市借地借家臨時処理法7条に基づく借地契約の解除は債務不履行を原因とするものではないため、民法541条の適用はなく、また弁護士法26条違反の疑いがあっても直ちに調停が無効とはならない。
問題の所在(論点)
①罹災都市借地借家臨時処理法7条に基づく解除に民法541条の適用があるか。②弁護士法26条に違反する行為があった場合、その弁護士が関与した調停は当然に無効となるか。
規範
罹災都市借地借家臨時処理法7条に基づく解除権の行使は、債務不履行を前提とするものではないため、民法541条が定める催告等の手続を要しない。また、弁護士法26条に抵触する事情があったとしても、そのことのみで当然に当該弁護士が関与した調停が私法上無効となるわけではない。
重要事実
上告人は罹災都市借地借家臨時処理法7条に基づき借地契約の解除を受けたが、これに対し民法541条の適用(催告の不備等)や権利の濫用を主張した。また、相手方代理人の行為が弁護士法26条(職務を行い得ない事件)に違反するものであり、それに基づきなされた調停は無効であると主張して争った。
事件番号: 昭和29(オ)346 / 裁判年月日: 昭和30年6月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地法9条(現・借地借家法25条)の「一時使用」にあたるかは、賃貸借の目的、期間、地上建物の種類・構造、賃料の多寡等から客観的に判断される。本判決は、原審の認定した事実関係に基づき、本件土地の賃貸借が一時使用のためのものであると認めることが可能であると判示し、上告を棄却した。 第1 事案の概要:本…
あてはめ
①本件解除は債務不履行を原因とするものではなく、特別法である罹災都市借地借家臨時処理法7条に基づくものであるから、民法541条を適用する余地はない。②原審が認定した事実関係によれば、本件解除は権利の濫用とはいえない。③弁護士法26条違反の主張については、仮に違反があったとしても調停の私法上の効力を当然に否定する理由にはならない。
結論
本件解除は有効であり、弁護士法違反を理由とする調停無効の主張も認められないため、上告を棄却する。
実務上の射程
特別法に基づく解除と一般法(民法)の適用の切り分け、および弁護士法違反が私法上の行為の効力に与える影響(公序良俗違反等に至らない限り原則として有効)を判断する際の参考となる。
事件番号: 昭和36(オ)810 / 裁判年月日: 昭和39年2月6日 / 結論: 棄却
賃貸借の合意解除は、客観的に賃借人に不利益な場合においても、借地法第一一条の適用はなく、他にこれを無効ならしめる特段の事由のないかぎり、有効である。
事件番号: 昭和39(オ)1050 / 裁判年月日: 昭和40年5月25日 / 結論: 棄却
賃貸建物の延滞賃料と共に賃貸借の存在しない建物占有による損害金とを不可分的に併せてした催告であつても、当該賃貸借契約解除の前提たる催告として有効である。
事件番号: 昭和31(オ)258 / 裁判年月日: 昭和32年11月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】催告期間内に「本旨に従う履行の提供」がなされない限り、解除権の発生を妨げることはできず、期間経過後の履行提供は解除の効力を左右しない。また、特段の事情がない限り、有効な催告に基づく解除権の行使は権利の濫用には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は債務の履行を怠り、被上告人から相当期間を定めた催告…
事件番号: 昭和28(オ)1118 / 裁判年月日: 昭和30年2月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】罹災都市借地借家臨時処理法10条に基づく借地権の対抗要件の成否は、通常の借地権の対抗に関する一般原則とは異なる独自の特別法上の規律による。 第1 事案の概要:上告人は所有権に基づき土地の明け渡しを請求したが、原審は罹災都市借地借家臨時処理法10条を適用し、被上告人が借地権を第三者(上告人)に対抗で…