判旨
罹災都市借地借家臨時処理法10条に基づく借地権の対抗要件の成否は、通常の借地権の対抗に関する一般原則とは異なる独自の特別法上の規律による。
問題の所在(論点)
罹災都市借地借家臨時処理法10条による借地権の対抗要件の判断において、通常の借地権の対抗に関する判例(大審院判決等)がそのまま適用されるか、あるいは同条独自の判断がなされるべきか。
規範
罹災都市借地借家臨時処理法10条は、戦災被害を受けた都市における借地権の保護を目的とする特別法であり、同条に基づく借地権の対抗要件の成否は、通常の借地権(旧借地法等)に関する一般原則によらず、同条の趣旨に照らして判断される。
重要事実
上告人は所有権に基づき土地の明け渡しを請求したが、原審は罹災都市借地借家臨時処理法10条を適用し、被上告人が借地権を第三者(上告人)に対抗できると認定した。これに対し上告人は、通常の借地権の対抗に関する大審院判例に抵触する旨、および原審の事実認定に違憲の疑いがある旨を主張して上告した。
あてはめ
上告人が引用する大審院判例は、通常の借地権の対抗に関するものである。しかし、本件は罹災都市借地借家臨時処理法10条が適用される事案であり、同条は戦災という特殊な状況下での借地権保護を図るものである。したがって、通常の借地権に関する判例は本件の適切な準拠とはならない。また、上告人の違憲主張も実質的には原審の適法な事実認定を非難するものにすぎない。
結論
罹災都市借地借家臨時処理法10条に基づく借地権の対抗が認められるとした原審の判断は正当であり、上告は棄却される。
実務上の射程
特別法(罹災法)による対抗要件の特例が認められる場面では、一般法の対抗要件に関する議論は排斥される。民法や借地借家法の一般論を論じる前に、特別法の適用の有無およびその独自性を検討すべきことを示唆している。
事件番号: 昭和28(オ)1043 / 裁判年月日: 昭和30年2月18日 / 結論: 棄却
罹災都市借地借家臨時処理法第二条に基く賃借権は、その登記および地上建物の登記がなくても、右賃借権設定後その土地につき所有権取得の登記をした第三取得者に対抗し得る。
事件番号: 昭和28(オ)1091 / 裁判年月日: 昭和30年12月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】罹災都市借地借家臨時処理法に基づく敷地優先賃借申出権の発生には、罹災建物滅失当時に当該敷地を建物所有目的で使用していたことを要しない。また、同法10条は借地権者が罹災建物を所有していた場合にのみ適用される。 第1 事案の概要:上告人Aは、本件土地が罹災建物の敷地であったとして、罹災都市借地借家臨時…
事件番号: 昭和28(オ)393 / 裁判年月日: 昭和30年11月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】戦時罹災土地物件令に基づく賃借権者が、後に同一土地について一時使用の賃貸借契約を締結した場合、特段の事情がない限り、先行する物件令上の賃借権を放棄したものと認められる。 第1 事案の概要:上告人(関)は、戦時罹災土地物件令(物件令)4条1項に基づき、本件土地の一部について賃借権を取得していた。しか…
事件番号: 昭和28(オ)326 / 裁判年月日: 昭和29年4月2日 / 結論: 棄却
正当に敷地を賃借して、現に建物を所有するか、若しくは、建物所有の目的で建築中の者があるときは、借地権及び建物につき登記がなくても、罹災都市借地借家臨時処理法第二条第一項但書の「その土地を、権原により現に建物所有の目的で使用する者があるとき」にあたる。
事件番号: 昭和30(オ)349 / 裁判年月日: 昭和31年11月15日 / 結論: 棄却
調停の代理人たる弁護士に弁護士法第二六条違反の行為があつても、それによつてされた調停は当然無効ではない。