罹災都市借地借家臨時処理法第二条に基く賃借権は、その登記および地上建物の登記がなくても、右賃借権設定後その土地につき所有権取得の登記をした第三取得者に対抗し得る。
罹災都市借地借家臨時処理法第二条に基く賃借権と対抗力
罹災都市借地借家臨時処理法2条
判旨
罹災都市借地借家臨時処理法2条に基づく賃借権は、登記や地上建物の登記がなくとも、賃借権設定後に土地の所有権登記を経た第三者に対して当然に対抗することができる。
問題の所在(論点)
罹災都市借地借家臨時処理法2条に基づき取得された賃借権が、民法や借地法(当時)の定める登記等の対抗要件を備えずとも、土地の第三取得者に対抗できるか。
規範
罹災都市借地借家臨時処理法2条に基づく賃借権は、それ自体に対抗力が備わっており、賃借権の登記や地上建物の登記といった対抗要件を備えていなくても、その設定後に土地を取得し登記を経た第三者に対抗し得る。
重要事実
上告人は、対象となる土地につき所有権取得の登記を経た第三取得者であった。一方で、相手方は同土地について罹災都市借地借家臨時処理法2条に基づく賃借権を有していたが、賃借権の登記や地上建物の登記は備えていなかった。上告人は、対抗要件を欠く賃借権の主張を拒むべく争った。
事件番号: 昭和28(オ)1118 / 裁判年月日: 昭和30年2月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】罹災都市借地借家臨時処理法10条に基づく借地権の対抗要件の成否は、通常の借地権の対抗に関する一般原則とは異なる独自の特別法上の規律による。 第1 事案の概要:上告人は所有権に基づき土地の明け渡しを請求したが、原審は罹災都市借地借家臨時処理法10条を適用し、被上告人が借地権を第三者(上告人)に対抗で…
あてはめ
罹災都市借地借家臨時処理法2条の規定は、戦災等の罹災都市における借地関係の迅速な処理と保護を図る趣旨である。同条に基づく賃借権は、法の規定により当然に対抗力を有するものと解される。したがって、本件において相手方が賃借権の登記等を有していなくても、その設定後に土地登記を経た上告人に対して権利を主張できるといえる。
結論
本件賃借権は対抗力を有し、第三取得者である上告人に対抗し得る。したがって、上告を棄却する。
実務上の射程
戦災復興期の臨時特例法に関する判例であり、現代の一般的な借地借家法下で直接適用される場面は限定的だが、特別法による「対抗力の付与」という構成を理解する上で重要である。
事件番号: 昭和27(オ)935 / 裁判年月日: 昭和30年10月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】罹災都市借地借家臨時処理法2条に基づく借地権は、登記や地上建物の登記を欠く場合であっても、設定から10年間は第三者に対して対抗することができる。 第1 事案の概要:本件における事案の詳細は判決文からは不明であるが、罹災法2条に基づき設定された借地権の存否、および当該借地権の対抗要件の欠落を理由とし…
事件番号: 昭和28(オ)393 / 裁判年月日: 昭和30年11月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】戦時罹災土地物件令に基づく賃借権者が、後に同一土地について一時使用の賃貸借契約を締結した場合、特段の事情がない限り、先行する物件令上の賃借権を放棄したものと認められる。 第1 事案の概要:上告人(関)は、戦時罹災土地物件令(物件令)4条1項に基づき、本件土地の一部について賃借権を取得していた。しか…
事件番号: 昭和28(オ)1091 / 裁判年月日: 昭和30年12月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】罹災都市借地借家臨時処理法に基づく敷地優先賃借申出権の発生には、罹災建物滅失当時に当該敷地を建物所有目的で使用していたことを要しない。また、同法10条は借地権者が罹災建物を所有していた場合にのみ適用される。 第1 事案の概要:上告人Aは、本件土地が罹災建物の敷地であったとして、罹災都市借地借家臨時…
事件番号: 昭和28(オ)326 / 裁判年月日: 昭和29年4月2日 / 結論: 棄却
正当に敷地を賃借して、現に建物を所有するか、若しくは、建物所有の目的で建築中の者があるときは、借地権及び建物につき登記がなくても、罹災都市借地借家臨時処理法第二条第一項但書の「その土地を、権原により現に建物所有の目的で使用する者があるとき」にあたる。