正当に敷地を賃借して、現に建物を所有するか、若しくは、建物所有の目的で建築中の者があるときは、借地権及び建物につき登記がなくても、罹災都市借地借家臨時処理法第二条第一項但書の「その土地を、権原により現に建物所有の目的で使用する者があるとき」にあたる。
罹災都市借地借家臨時処理法第二条第一項但書前段の意義
罹災都市借地借家臨時処理法2条
判旨
罹災都市借地借家臨時処理法2条1項ただし書にいう「土地を権原により現に建物所有の目的で使用する者」とは、当該土地を正当に賃借して現に建物を所有するか、または建物所有の目的で建築中であれば足り、借地権や建物について登記を備えている必要はない。
問題の所在(論点)
罹災都市借地借家臨時処理法2条1項ただし書に規定される「その土地を権原により現に建物所有の目的で使用する者」に該当するためには、借地権または建物について登記を備えていることが必要か。
規範
罹災都市借地借家臨時処理法2条1項ただし書が規定する「土地を権原により現に建物所有の目的で使用する者」とは、対象となる敷地を正当な権原(賃借権等)に基づき占有し、現に建物を所有しているか、あるいは建物所有の目的で現に建築中の状態にある者を指す。この要件を充足するにあたって、借地権自体の登記や、当該建物に係る保存登記等の対抗要件を備えていることまでは必要とされない。
重要事実
上告人は、罹災都市借地借家臨時処理法(以下「法」)に基づく借地権の優先的承認等に関連し、法2条1項ただし書の適用要件が問題となる事案において、当該土地の借地権および建物について登記がないことを理由に、同条項の適用を否定する主張を行った。原審(東京高裁)は、登記の有無は同条項の適用に影響しないと判断したため、上告人がこれを不服として上告した。
事件番号: 昭和24(オ)360 / 裁判年月日: 昭和26年4月12日 / 結論: 棄却
一 罹災都市借地借家臨時処理法第三条が準用する同法第二条第一項但書にいわゆる権原により現に建物所有の目的で土地を使用する者とは、法律上何等かの権原に基いてその土地を現に使用している者を意味し、その土地につき借地権譲渡の申出権を有する罹災建物の借主があるか否か又何人であるかに関し、その権原者が善意であると否とを問わない。…
あてはめ
法2条1項ただし書の趣旨は、罹災地における土地利用の現状を保護し、速やかな復興を期することにある。同条項の文言は「権原により」「現に建物所有の目的で使用する」ことを求めているに留まり、第三者に対する対抗要件(登記)の具備までを明示的に要求するものではない。本件において、対象土地を正当に賃借し、その上で実際に建物を所有、あるいは建築を進めている実態があれば、法の予定する「使用する者」としての実質を備えているといえる。
結論
法2条1項ただし書の適用にあたり、借地権および建物について登記があることは必要ない。したがって、登記の欠如を理由に同条項の適用を否定した上告人の主張は認められない。
実務上の射程
本判決は、戦後の罹災地保護という特殊な政策目的を持つ特別法の解釈であるが、不動産利用に関する「権原」や「使用」の概念において、必ずしも対抗要件の具備が前提とならない局面があることを示している。民法や借地借家法の一般原則における「対抗問題」と、特定の保護規定における「利用実態」の峻別を意識する際の参考となる。
事件番号: 昭和25(オ)293 / 裁判年月日: 昭和28年12月24日 / 結論: 棄却
借地法にいわゆる建物とは、一般通念に従つてその意義を定むべきで、家屋台帳等公の帳簿に記載され課税の対象となつているものだけに限るものと解すべきではない。
事件番号: 昭和28(オ)1043 / 裁判年月日: 昭和30年2月18日 / 結論: 棄却
罹災都市借地借家臨時処理法第二条に基く賃借権は、その登記および地上建物の登記がなくても、右賃借権設定後その土地につき所有権取得の登記をした第三取得者に対抗し得る。
事件番号: 昭和25(オ)93 / 裁判年月日: 昭和28年12月24日 / 結論: 棄却
罹災建物の敷地の所有者が、自己の所有権に基き現に建物所有の目的でその敷地を使用しているときは、たといその敷地につき借地権者がある場合でも罹災都市借地借家臨時処理法第三条の準用する同法第二条第一項但書にいわゆる「その土地を、権限により現に建物所有の目的で使用する者があるとき」に該当すると解するのが相当である。
事件番号: 昭和36(オ)220 / 裁判年月日: 昭和36年9月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】仮設建物所有を目的とした土地賃貸借について、その実態が一時使用目的であることが明らかな場合には、借地法の適用を受けない一時使用目的の借地権(借地借家法25条参照)として認められる。 第1 事案の概要:本件土地賃貸借は、仮設建物を所有することを目的として締結された。賃貸借期間の終了後、被上告人(賃貸…