罹災建物の敷地の所有者が、自己の所有権に基き現に建物所有の目的でその敷地を使用しているときは、たといその敷地につき借地権者がある場合でも罹災都市借地借家臨時処理法第三条の準用する同法第二条第一項但書にいわゆる「その土地を、権限により現に建物所有の目的で使用する者があるとき」に該当すると解するのが相当である。
罹災建物の敷地を所有者自身が使用しているときは他に借地権者がある場合でも罹災都市借地借家臨時処理法第三条、第二条第一項但書の「権原により現に建物所有の目的で使用する者があるとき」に該当するか
罹災都市借地借家臨時処理法3条,罹災都市借地借家臨時処理法2条1項
判旨
罹災都市借地借家臨時処理法にいう「権原により現に建物所有の目的で土地を使用する者」とは、所有権、借地権等の正当な権利に基づき土地を使用している者を指し、不法占有者を除外する趣旨である。
問題の所在(論点)
罹災都市借地借家臨時処理法2条1項但書および3条に定める「権原により現に建物所有の目的で使用する者」に、所有権に基づいて土地を使用している者が含まれるか。また、その土地に別途借地権者が存在する場合でもその判断に影響するか。
規範
罹災都市借地借家臨時処理法2条1項但書、3条にいう「権原によりその土地を現に使用する者」とは、法律上の何らかの権原に基づき土地を現に使用している者を意味する。具体的には、所有権、借地権、または戦時罹災土地物件令等に基づき土地を使用し得る正当な権利を有する者がこれに当たり、かかる権限に基づかない不法占有者は除外される。
重要事実
被上告人は、Dから建物およびその敷地である本件土地を譲り受け、当該建物の所有を目的として現にその敷地を使用していた。これに対し、本件土地に別途借地権者が存在すると主張する上告人が、被上告人の使用権原の有無を争い、処理法の適用を否定しようとした。
事件番号: 昭和25(オ)293 / 裁判年月日: 昭和28年12月24日 / 結論: 棄却
借地法にいわゆる建物とは、一般通念に従つてその意義を定むべきで、家屋台帳等公の帳簿に記載され課税の対象となつているものだけに限るものと解すべきではない。
あてはめ
被上告人は、前主Dから建物と共にその敷地の所有権を譲り受けており、不法占有者ではなく所有権という正当な権原に基づいて土地を占有している。たとえ上告人が主張するように当該土地に別途借地権者が存在する状況であったとしても、被上告人が所有権という法律上の正当な権原に基づき現に建物所有の目的で土地を使用している事実に変わりはない。
結論
所有権に基づいて土地を使用している者は、同法にいう「権原により現に土地を使用する者」に該当する。したがって、被上告人は同法の保護対象となる。
実務上の射程
本判決は、罹災処理法上の「権原」の意義を、賃借権等の利用権のみならず所有権を含む広義の正当な占有権原として示したものである。司法試験等の答案作成においては、特別法における「権原」の解釈として、不法占有者との対比において正当な権利に基づく占有を広く含むものと整理する際に有用である。
事件番号: 昭和24(オ)360 / 裁判年月日: 昭和26年4月12日 / 結論: 棄却
一 罹災都市借地借家臨時処理法第三条が準用する同法第二条第一項但書にいわゆる権原により現に建物所有の目的で土地を使用する者とは、法律上何等かの権原に基いてその土地を現に使用している者を意味し、その土地につき借地権譲渡の申出権を有する罹災建物の借主があるか否か又何人であるかに関し、その権原者が善意であると否とを問わない。…
事件番号: 昭和28(オ)326 / 裁判年月日: 昭和29年4月2日 / 結論: 棄却
正当に敷地を賃借して、現に建物を所有するか、若しくは、建物所有の目的で建築中の者があるときは、借地権及び建物につき登記がなくても、罹災都市借地借家臨時処理法第二条第一項但書の「その土地を、権原により現に建物所有の目的で使用する者があるとき」にあたる。
事件番号: 昭和28(オ)1091 / 裁判年月日: 昭和30年12月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】罹災都市借地借家臨時処理法に基づく敷地優先賃借申出権の発生には、罹災建物滅失当時に当該敷地を建物所有目的で使用していたことを要しない。また、同法10条は借地権者が罹災建物を所有していた場合にのみ適用される。 第1 事案の概要:上告人Aは、本件土地が罹災建物の敷地であったとして、罹災都市借地借家臨時…
事件番号: 昭和33(オ)273 / 裁判年月日: 昭和33年11月27日 / 結論: 棄却
一 仮建築の建物を建てて使用するため、期間を一年とし、当事者協議の上更新し得る約で土地を賃貸したところ、賃借人が、無断で本建築をしたので、賃貸人から家屋収去土地返還の調停を申立てた結果、賃貸期間を調停成立以後約八年とし期間満了のとき賃借人所有の地上建物は賃貸人に贈与する旨の調停が成立した場合、右賃貸借は、一時使用のため…