賃貸借の合意解除は、客観的に賃借人に不利益な場合においても、借地法第一一条の適用はなく、他にこれを無効ならしめる特段の事由のないかぎり、有効である。
賃貸借の合意解除と借地法第一一条。
借地法11条
判旨
土地賃貸借契約の合意解除は、客観的に賃借人に不利益であっても、借地法11条(現行借地借家法9条等)の適用を受けず、特段の事情がない限り有効である。また、補助参加人は被参加人が有する攻撃防御方法のみを主張でき、自己の権利に基づく対抗力等の主張を被参加人の主張として行うことはできない。
問題の所在(論点)
1. 借地権の合意解除に借地法11条(現借地借家法9条等)が適用され、賃借人に不利益なものとして無効となるか。 2. 補助参加人が、被参加人(賃借人)に代わって「合意解除の対抗力」等の自己に固有の利益に関する主張を、被参加人の攻撃防御方法として行えるか。
規範
1. 賃貸借契約の合意解除は、当事者の合意による契約の解消であるから、客観的に賃借人に不利益な内容であっても借地法11条(強行規定違反による無効)の適用はなく、特段の事情がない限り有効である。 2. 補助参加人は、被参加人の訴訟行為を補助する立場にあるため、被参加人に属する攻撃防御方法のみを主張し得る(民訴法45条1項等)。
重要事実
土地賃貸人(被上告人)と賃借人(上告人)との間で土地賃貸借契約が合意解除され、建物収去土地明渡の義務を負担する旨の約定がなされた。この際、賃借人は建物買取請求権を放棄する意思表示も併せて行っていた。賃借人の補助参加人は、この合意解除が借地法11条に反し無効であること、および当該合意解除の効力を自身に対抗できないことを理由に、上告人の明渡義務を争った。
事件番号: 昭和30(オ)349 / 裁判年月日: 昭和31年11月15日 / 結論: 棄却
調停の代理人たる弁護士に弁護士法第二六条違反の行為があつても、それによつてされた調停は当然無効ではない。
あてはめ
1. 本件合意解除は、当事者間の自由な合意に基づくものであり、たとえ建物買取請求権の放棄等、客観的に賃借人に不利益な約定が含まれていても、強行規定による制限(借地法11条)は及ばない。 2. 補助参加人の主張する「合意解除の対抗力」の問題は、補助参加人自身が被上告人(賃貸人)に対して主張すべき事項であり、被参加人である賃借人自身に属する攻撃防御方法とはいえない。したがって、補助参加人による当該主張は適法な補助参加の範囲を超える。
結論
本件土地賃貸借契約の合意解除は有効であり、建物買取請求権の放棄も認められる。補助参加人による対抗力等の主張は適法な攻撃防御方法とはいえず、上告人の敗訴(棄却)は妥当である。
実務上の射程
契約終了の場面で「合意解除」は強行規定の潜脱とされない限り有効であるという基本原則を示す。答案上は、借地借家法上の保護規定が「解除」全般ではなく「合意」による場合には原則として及ばないことを論じる際に引用する。また、補助参加人の主張権限の限界(固有の権利主張の禁止)の整理にも有用である。
事件番号: 昭和36(オ)646 / 裁判年月日: 昭和38年4月23日 / 結論: 棄却
第三者が賃借土地の上に存する建物の所有権を取得した場合に、賃貸人が賃借権の譲渡を承諾しない間に賃貸借が賃料不払のため解除されたときは、借地法一〇条に基づく第三者の建物買取請求権はこれによつて消滅するものと解するのを相当とする。
事件番号: 昭和36(オ)304 / 裁判年月日: 昭和36年9月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地法10条(現行借地借家法14条)に基づく建物買取請求権は、買取請求の意思表示の時点において、土地賃借権が有効に存在していることを要件とする。 第1 事案の概要:上告人A1及びA2が、被上告人所有の土地を賃借し、その地上に建物を所有していた事案において、賃料の支払をめぐる争い等により賃貸借関係の…
事件番号: 昭和39(オ)1180 / 裁判年月日: 昭和40年7月2日 / 結論: 棄却
土地賃借人が賃料の支払を延滞したときは土地賃貸人は催告を要せず土地賃貸借契約を解除できる旨の特約は、借地法第一一条の特約にはあたらない。