判旨
仲立人は他人の間に入って商行為の媒介を行う者を指し、自己の名で相手方のために契約を締結し、または相手方の代理人として契約を締結する権限を有するものではない。したがって、仲立人と代理人の概念は互いに相容れないものである。
問題の所在(論点)
商行為の媒介(物色斡旋)を依頼された者が、商法上の代理人としての権限を有するといえるか。また、仲立人と代理人の概念的関係をどのように解すべきか。
規範
商法上の仲立人(商法543条以下)は、他人間の商行為の媒介をなすことを業とする者であり、その本質は媒介にある。これに対し、代理人は本人に代わって意思表示を行い、または意思表示を受ける権限を有する者である。両者は法律上の性質が異なり、仲立人の地位には当然には契約締結権限や代理権は含まれない。
重要事実
被上告人は、訴外Dに対し、その事業である払下物資の買受適格者の物色および斡旋等を依頼した。上告人は、Dが被上告人の代理人として契約を締結する権限を有していた、あるいは商法505条(当時の規定)の適用があるべきと主張して、Dの行為に基づく契約の効果が被上告人に帰属することを争った。
あてはめ
本件において、Dに与えられた権限は「買受適格者の物色斡旋等」に限定されていた。これは他人間の取引を仲介する仲立人の役割に留まるものである。Dは、自己の名をもって被上告人のために契約を締結する権限も、被上告人の代理人として契約を締結する権限も授与されていない。仲立人と代理人はその職能的本質からして相容れない観念であるため、単なる斡旋の依頼をもって代理権の授与があったと解することはできない。
結論
仲立人と代理人は相容れない観念であり、単に物色の斡旋を依頼されたに過ぎない者に代理権は認められない。
実務上の射程
媒介(仲介)を業とする者に対し、どこまでの権限が与えられているかが争点となる実務において、媒介と代理の概念を厳格に区別する指針となる。特に商法上の仲立人の法的性質を論ずる際、当然には代理権を含まないことを示す根拠として活用できる。
事件番号: 昭和28(オ)622 / 裁判年月日: 昭和30年10月7日 / 結論: 破棄自判
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