判旨
商法525条(現525条1項)が規定する商事定期行為の解除が認められるためには、当該取引が客観的に、あるいは当事者の意思表示によって、特定の時期に履行しなければ契約の目的を達し得ない性質を有している必要がある。
問題の所在(論点)
本件取引が商法525条(商事定期行為)に該当するか、および原審における合意解除の主張が同条の解除の主張を含むものといえるか。
規範
商法525条(定期行為の履行遅滞による解除)の適用を受ける取引とは、売買の性質または当事者の意思表示により、特定の日時または一定の期間内に履行しなければ契約の目的を達することができないものを指す。これに該当する場合、当事者の一方が履行をせずにその時期を経過したときは、相手方が直ちに履行を請求しない限り、契約は解除されたものとみなされる。
重要事実
上告人(買主)と被上告人(売主)との間の代金支払を伴う取引において、契約の合意解除の有無および代金支払猶予の約束の存否が争われた。上告人は、原審において合意解除の主張を行っていたが、上告審に至り、本件取引が商法525条所定の定期行為に該当し、同条による解除が認められるべきである旨を主張した。
あてはめ
まず、上告人が原審で主張していたのは「合意解除」であり、商法525条に基づく法定解除の主張ではない。また、原審の弁論の全趣旨に照らせば、本件取引が特定の時期を徒過することで契約目的を達し得なくなるような「商法525条所定の取引(定期行為)」に該当しないことは明らかである。したがって、履行遅滞をもって直ちに解除とみなされる法的基盤は存在しない。
結論
本件取引は商法525条所定の取引に該当せず、原審が同条を適用しなかった判断は正当であるため、上告を棄却する。
実務上の射程
答案上、商事売買における定期行為(季節商品や祝事品等)の解除を論じる際、単なる履行遅滞(民法541条)との対比で、催告不要かつ解除の意思表示不要という強力な効果を導くための要件検討(客観的性質または主観的合意)に用いる。
事件番号: 昭和31(オ)758 / 裁判年月日: 昭和32年10月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】商人間の売買において、目的物の種類、品質又は数量に関する契約不適合を理由とする代金減額請求や損害賠償請求を行うには、商法526条所定の通知をなすことが必要不可欠である。 第1 事案の概要:買主(上告人)は卸売市場において、売主(被上告人)からアジ及びサバを買い取った。その際、買主は取引現場で魚の鮮…