判旨
損害賠償請求において、損害の数額の立証責任は請求者にあり、裁判所は提出された証拠に基づき立証の有無を判定すれば足り、釈明権を行使して立証を促す職責までは負わない。
問題の所在(論点)
損害賠償請求における損害額の立証責任の所在、および立証が不十分な場合における裁判所の釈明義務の有無が問題となる。
規範
損害賠償を請求する者は、損害発生の事実のみならず、損害の数額についても立証責任を負う。裁判所は、当事者が提出した証拠に基づき損害額が証明されたか否かを判定すれば足り、立証が不十分な場合にさらに進んで釈明権を行使すべき職責を有するものではない。
重要事実
上告人(被控訴人)が損害賠償を請求した事案において、原審は上告人が提出した証拠のみでは本件損害の数額の立証がなされていないと判断し、請求を棄却した。これに対し、上告人は裁判所が釈明権を行使して損害額を確定すべきであった等と主張して上告した。
あてはめ
損害賠償請求における損害額は、権利の発生を基礎付ける事実として、請求側に立証責任がある。本件において、原審が提出された証拠を検討した結果、損害額の立証がないと判断したことは、証拠の取捨選択および事実認定の裁量の範囲内である。裁判所は中立的な立場から証拠を判定する役割を担うにとどまり、立証責任を負う当事者に代わって釈明権を行使し、損害額の立証を補足させる義務はないと解される。
結論
損害額の立証がない以上、請求を認容することはできず、裁判所に釈明義務の違法はない。上告棄却。
実務上の射程
損害賠償請求訴訟において、被害者が損害額を具体的に主張・立証できない場合に、裁判所に「助け舟」を求めることは原則としてできないことを示す。民事訴訟法248条(損害額の認定)が適用される場面を除き、実務上は請求側が厳格に損害額を立証すべきであることを強調する際の根拠となる。
事件番号: 昭和34(オ)212 / 裁判年月日: 昭和36年3月16日 / 結論: 棄却
所有権確認訴訟の係属中、訴訟の目的たる権利を原告から譲り受けたことを主張して訴訟参加をした者が、第二審で勝訴し、被告が参加人を相手方として上告の申立をしたときは、原告のためにもその効力を生じ、同人は被上告人たる地位を取得したものと解すべきである。
事件番号: 昭和30(オ)880 / 裁判年月日: 昭和32年7月30日 / 結論: 破棄差戻
所有権の帰属に争があるにとどまらず、その範囲についても争がないとはいえない土地の所有権確認判決において、主文と引用の目録、図面および判決理由とを対照しても、被上告人の所有に属する旨確定された土地の範囲が現地のいかなる地域に当るかが特定できないときは、主文不明確の違法を免れない。
事件番号: 昭和28(オ)1042 / 裁判年月日: 昭和32年1月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が判決の対象とする土地の範囲について、原告が口頭弁論(釈明)において具体的に範囲を特定し、被告もそれを前提に防御を尽くしている場合には、判決目録の記載が事実調査の結果等と相まって客観的に特定可能であれば、処分権主義に反しない。 第1 事案の概要:被上告人(原告)は、ある山林(7反1畝歩)のう…
事件番号: 昭和35(オ)972 / 裁判年月日: 昭和37年10月26日 / 結論: 棄却
係争物件につき共有権を主張する者に対して、第三者が自己の単独所有権の確認を求める訴は、いわゆる必要的共同訴訟に属しない。
事件番号: 昭和35(オ)900 / 裁判年月日: 昭和37年8月3日 / 結論: 棄却
山林を買受け、未登記のままこれに檜等を植栽した者が、その後特に地上立木を除外することなくいわゆる二重売買を受け、所有権移転登記を経た者に対し、その植栽した立木の所有権を主張するためにはこれを公示する対抗要件を必要とする。