判旨
代理権を有する者によって締結された契約は、特段の事情がない限り、有効に成立し、代表者の承認を要するとの特約が認められない限り、その効力は本人に帰属する。
問題の所在(論点)
代理権を有する者が締結した契約において、代表者の承認を効力発生の要件とする特約の存在が認められない場合、当該契約の効力は直ちに本人に帰属するか。また、その特約の存否の認定が問題となる。
規範
代理権を有する者(代理人)がした意思表示は、本人のためにすることを示してなされた場合、本人に対して直接にその効力を生ずる(民法99条1項)。特約による効力発生要件(停止条件等)の存在については、それを主張する側が立証責任を負う。
重要事実
上告会社を代理する権限を有していた上告人Aが、被上告会社との間で売買契約を締結した。これに対し上告人側は、当該契約が上告会社の代表者Dの承認を得ることを効力発生の条件とする特約(約旨)があったと主張して、契約の効力を争った。
あてはめ
原審の認定によれば、Aは上告会社を代理する権限を有していた。上告人側は代表者Dの承認を必要とする特約の存在を主張したが、証拠上これを認めるに足りない。したがって、適法な代理権に基づいて締結された本件売買契約は、何ら代表者の承認を待つことなく、成立と同時に上告会社に対してその効力を生じたものと解される。
結論
本件売買契約は有効に成立しており、代表者の承認がないことを理由にその効力を否定することはできない。上告棄却。
実務上の射程
代理権の存在が認められる場合、その権限行使に制限(内部的な承認手続等)があったとしても、それが対外的な契約の効力要件(特約)として構成されていない限り、契約は有効となる。実務上は、代理権の範囲と、効力発生に関する条件・特約の立証の重要性を示す事案である。
事件番号: 昭和31(オ)613 / 裁判年月日: 昭和32年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者が主張していない法的な構成(問屋類似行為)について、裁判所が釈明権を行使してその主張を促す義務があるとはいえない。当事者が主張する媒介または代理の事実に基づき、契約の成立を認めた原審の判断に違法はない。 第1 事案の概要:上告人は、被上告人の媒介または代理行為によって上告人とDセメント株式会…