判旨
代理権を有する者が代理人として債務を承認した場合には、本人の意思にかかわらず、消滅時効の中断(更新)の効果が本人に帰属する。
問題の所在(論点)
代理人が代理権の範囲内で行った債務の承認が、本人に対する関係で消滅時効の中断(更新)の効力を生じさせるか。
規範
代理人がその権限内においてした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる(民法99条1項)。消滅時効の更新事由としての「承認」(民法152条1項)についても、代理権を有する者が代理人の資格でこれを行った場合には、その効果は本人に帰属する。
重要事実
上告会社を代理する権限を有するDが、その代理権に基づいて本件債務の承認を行った。これに対し、上告人はDによる承認の効果が会社に及ぶことを否定して上告したが、原審はDに代理権があったことを事実認定していた。
あてはめ
本件において、Dは上告会社を代理する正当な権限を有していたと認定されている。このDが、代理権に基づいて債務の承認を行った以上、代理制度の一般原則に基づき、その行為の効果は直接上告会社に帰属する。したがって、承認によって時効が中断したと評価される。
結論
代理人が権限に基づいて行った債務の承認は本人に対して効力を生じるため、本件債務の時効中断(更新)は認められる。
実務上の射程
本判決は、時効の承認が代理人によってもなされ得ることを当然の前提としている。答案上では、法人の代表者や支配人、あるいは任意代理人が債務を認める言動をした場合、民法99条を介して民法152条(旧147条3号)の「承認」の効果を本人に帰属させる際の根拠となる。
事件番号: 昭和31(オ)893 / 裁判年月日: 昭和32年11月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者が売買契約の成立を主張している場合、裁判所がその代理人によって契約が締結されたと認定しても、処分権主義(民訴法246条)には反しない。 第1 事案の概要:被上告人(原告)は、上告人(被告)との間に売買契約が成立したと主張して訴えを提起した。これに対し、原審(控訴審)は、当該売買契約が被上告人…