判旨
判決に影響を及ぼさない事実認定の過程における瑕疵や、証拠の採否、事実認定に関する不服は、上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
事実認定の資料として供されていない証拠の成否に関する指摘や、証拠の採否・事実認定に関する不服が、適法な上告理由となるか。
規範
上告理由として認められるためには、原判決の判断に影響を及ぼす法令の違背があることを要する。証拠の採否および事実認定は、特段の事情がない限り、原審(事実審)の裁量に属する。
重要事実
上告人は、原判決が乙第2号証の成立を不法に認めた点や、亡Dとその妻Eが被上告人と婿養子縁組をした事実に争いがないとした判示に誤りがあるとして上告した。しかし、原判決は当該証拠を事実認定の資料としておらず、縁組の事実は形式上の届出がなされている趣旨であった。
あてはめ
まず、乙第2号証については原判決が事実認定の資料として用いていないため、仮にその成立認定に誤りがあったとしても、判決の結論に影響を及ぼす法令違背とはいえない。次に、婿養子縁組の事実については、判決理由全体を照らせば形式上の届出があるという趣旨であり、他の証拠(乙第4、6、7号証)からも認定が可能である。最後に、証拠の採否や事実認定全般に関する非難は、専ら原審の裁量に属する事項である。
結論
上告人の主張は、判決に影響を及ぼす法令違背や適法な上告理由に当たらないため、上告を棄却する。
実務上の射程
民事訴訟法上の上告審の構造を確認する事例である。証拠の成立認定に瑕疵があっても判決理由の骨子に影響しない場合や、事実認定の当否そのものを争う主張は上告理由として排斥されることを示している。
事件番号: 昭和49(オ)861 / 裁判年月日: 昭和50年4月8日 / 結論: 棄却
養子とする意図で他人の子を嫡出子として出生届をしても、右出生届をもつて養子縁組届とみなし、有効に養子縁組が成立したものとすることはできない。
事件番号: 昭和30(オ)852 / 裁判年月日: 昭和31年12月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判示事実の認定において、一部の証拠の採用に違法がある場合であっても、他の証拠によって当該認定が維持できるのであれば、その違法は判決に影響を及ぼすべきものとは認められない。 第1 事案の概要:上告人は、原審が事実認定の根拠とした乙第2号証および乙第3号証について、その採用に違法がある旨を主張して上告…
事件番号: 昭和27(オ)873 / 裁判年月日: 昭和29年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】夫婦がその嫡出子でない子を嫡出子として届け出た場合であっても、右届出をもって養子縁組届とみなすことはできない。 第1 事案の概要:夫婦(上告人ら)が、自分たちの嫡出子ではない児童を、実子として戸籍上の嫡出子出生届を提出した。その後、当該届出を養子縁組の届出として有効と解すべきか、あるいは養子縁組と…
事件番号: 昭和28(オ)159 / 裁判年月日: 昭和30年3月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決文には具体的な判旨の記載がないが、原審が認定した事実を基礎とした法律判断を正当として上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:上告人が原審の認定した事実および法律判断を不服として上告を申し立てた事案。なお、具体的な権利関係や紛争の内容については判決文からは不明である。 第2 問題の所在(論…