判旨
判示事実の認定において、一部の証拠の採用に違法がある場合であっても、他の証拠によって当該認定が維持できるのであれば、その違法は判決に影響を及ぼすべきものとは認められない。
問題の所在(論点)
事実認定の根拠とされた一部の証拠の採用手続き等に違法がある場合、直ちに判決に影響を及ぼすべき違法(旧民事訴訟法395条1項6号参照)として破棄事由となるか。
規範
事実認定の基礎となった証拠のうち、一部の証拠の取り調べや採用過程に違法が存する場合であっても、それ以外の適法な証拠(他の書証、証人の証言、本人尋問の結果等)を総合することで当該事実を認定することが可能であれば、当該違法は判決の結果に影響を及ぼさない。
重要事実
上告人は、原審が事実認定の根拠とした乙第2号証および乙第3号証について、その採用に違法がある旨を主張して上告した。しかし、原審はこれら書証以外にも、複数の証人の証言および本人尋問の結果を総合して事実を認定していた。
あてはめ
本件において、問題とされた乙第2号証および乙第3号証を仮に証拠から除外したとしても、原判決が挙げた他の証言や本人尋問の結果等から、同一の事実認定を肯定することができる。したがって、当該書証に関する違法は判決の結論を左右するものではないと評価される。
結論
本件上告は棄却される。一部の証拠採用に違法があっても、他の証拠により認定が維持できる以上、判決に影響を及ぼすべき違法とはいえない。
実務上の射程
実務上、証拠法則の違反を理由に上告する場合、その違反が結論(事実認定)を導く上で不可欠であったかという「判決への影響」が厳格に問われる。答案上では、証拠の採否や事実認定の合理性を論じる際、一部の不適切な証拠のみを捉えて直ちに違法とするのではなく、証拠全体の総合評価として結論が維持可能かという視点を示す際に活用できる。
事件番号: 昭和28(オ)159 / 裁判年月日: 昭和30年3月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決文には具体的な判旨の記載がないが、原審が認定した事実を基礎とした法律判断を正当として上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:上告人が原審の認定した事実および法律判断を不服として上告を申し立てた事案。なお、具体的な権利関係や紛争の内容については判決文からは不明である。 第2 問題の所在(論…
事件番号: 昭和40(オ)813 / 裁判年月日: 昭和41年1月21日 / 結論: 棄却
養子縁組事件においても、当事者が自白すれば、裁判所は、自由心証によつて真実であるかどうかを判断し、真実と認めれば、これを事実認定の資料とすることを妨げられるものではない。
事件番号: 昭和37(オ)1235 / 裁判年月日: 昭和38年12月20日 / 結論: 棄却
他の相続人の相続分を排することを主たる目的としなされた養子縁組であつても、親子としての精神的つながりをつくる意思が認められるかぎり無効ではない。
事件番号: 昭和42(オ)1105 / 裁判年月日: 昭和43年3月15日 / 結論: 棄却
養子縁組無効確認請求事件において、偽造の縁組届に基づき不実の記載がされた戸籍簿に一致する戸籍謄本が証拠として提出されていた場合でも、判決が縁組の効力を判断するにあたつて、右戸籍謄本を認定に用いていないときには、右不実の記載がされた事実は、右判決に対する再審事由とはならない。