判旨
占有権に基づく請求において、占有の事実認定は原審の適法な事実確定に基づくべきであり、主張されていない事実や原審の認定に反する事実を前提とした上告理由は採用されない。また、予備的併合において主位的請求が認容された場合、予備的請求について判断する必要はない。
問題の所在(論点)
1. 原審で主張されていない事実や原審の事実認定に反する主張を上告理由とできるか。2. 第一次の請求が認められた場合に、第二次の請求について判断する必要があるか。
規範
1. 事実認定の拘束力:上告審においては、当事者が原審において明確に主張していない事実や、原審が適法に認定した事実に反する事実を前提として判決の不当を訴えることはできない。2. 請求の併合:複数の請求が予備的に併合されている場合、主位的請求(第一次の請求)を認容する以上、予備的請求(第二次の請求)について判断を要しない。
重要事実
被上告人が、本件建物の占有を侵害されたとして占有回収等の請求(第一次の請求等)を行った。原審は、被上告人が昭和20年3月の罹災後から昭和25年5月まで本件建物を占有していた事実を認定し、被上告人の請求を認容した。これに対し上告人らは、上告人Aが昭和22年2月以前から占有していた等の事実を主張して上告した。
あてはめ
1. 上告人Aが昭和22年から占有していたという事実は、原審で明確に主張されたとは認められず、また原審は被上告人が昭和25年まで占有していたと適法に認定している。したがって、これに反する上告人の主張は採用できない。2. 原審において被上告人の第一次の請求が認められているため、審理の順序として第二次の請求について判断を付す必要はない。
結論
本件上告を棄却する。原審が第一次の請求を認容した判断に違法はない。
実務上の射程
訴訟法上の予備的併合における審判の順序および、上告審における事実主張の制限(適法な事実認定の尊重)を確認する事例である。実務上、主位的請求認容時の予備的請求不判断の原則を引用する際に活用できる。
事件番号: 昭和31(オ)1083 / 裁判年月日: 昭和33年6月14日 / 結論: 破棄差戻
家屋台帳の記載上、所有者が当初から原告である旨記載されている以上、反証なきかぎり、その記載内容は真実であると推定すべきものであつて、昭和一九年四月建築したものが、昭和二一年一〇月にその新築申告がなされ、その間相当の隔りがあるというだけのことで、右の推定を覆すに足りる反証とすることはできない