家屋台帳の記載上、所有者が当初から原告である旨記載されている以上、反証なきかぎり、その記載内容は真実であると推定すべきものであつて、昭和一九年四月建築したものが、昭和二一年一〇月にその新築申告がなされ、その間相当の隔りがあるというだけのことで、右の推定を覆すに足りる反証とすることはできない
家屋台帳の証拠力
民訴法第185条,家屋台帳法第4条
判旨
家屋台帳に所有者として記載されている者は、反証のない限り真実の所有者であると推定される。新築時期と新築申告の時期に相当の隔たりがあるという事情のみでは、右の推定を覆すに足りる反証とはいえない。
問題の所在(論点)
家屋台帳上の所有者記載にどの程度の証明力(推定効)が認められるか。また、新築申告の遅延という事実は、その推定を覆すに足りる反証となるか。
規範
不動産の家屋台帳(現在の不動産登記簿に相当する公的事実)に所有者として記載されている事実は、反証がない限り、その記載が真実であるとの権利推定を働かせる。この推定を覆すには、単に形式上の不備や手続の遅延を指摘するだけでは足りず、記載が虚偽であることを裏付ける実質的な反証を要する。
重要事実
本件建物の家屋台帳上、上告人が昭和19年4月に建築所有している旨の記載がなされていた。これに対し、原審は乙第3号証に基づき、新築申告がなされたのが昭和21年10月であり、実際の建築時期との間に相当の隔たりがあることを理由に、家屋台帳の記載内容を否定し、所有者はDであると認定した。
あてはめ
家屋台帳に上告人が所有者として記載されている以上、特段の反証がない限り、その記載は真実であると推定すべきである。原審が挙げた「新築から申告まで約2年半の隔たりがある」という事実は、あくまで手続上の遅滞を示すに過ぎない。この事実のみをもって、家屋台帳の権利推定を覆し、上告人以外の者を所有者と断定することは論理的に飛躍しており、証拠法則に反する事実認定といえる。
結論
家屋台帳の記載に基づく所有者の推定は、申告時期の遅れのみでは覆らない。したがって、原判決には事実認定の違法があり、破棄を免れない。
実務上の射程
登記(または当時の家屋台帳)の備える権利推定効の程度を示した判例である。民事訴訟において、公的帳簿の記載を争う側が負うべき反証の程度は、単なる手続の瑕疵の指摘では不十分であり、実体関係が異なることを具体的に立証する必要があることを示唆している。
事件番号: 昭和30(オ)83 / 裁判年月日: 昭和31年5月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】占有権に基づく請求において、占有の事実認定は原審の適法な事実確定に基づくべきであり、主張されていない事実や原審の認定に反する事実を前提とした上告理由は採用されない。また、予備的併合において主位的請求が認容された場合、予備的請求について判断する必要はない。 第1 事案の概要:被上告人が、本件建物の占…