判旨
判決文に訴訟告知に関する事実の記載がないことのみを理由とする上告は、原判決に影響を及ぼす法令の違背を主張するものとは認められない。
問題の所在(論点)
判決文中に訴訟告知に関する事実が記載されていないことが、民事訴訟法上の上告理由となる「判決に影響を及ぼす法令の違背」に該当するか。
規範
上告理由として認められるためには、原審の判断に影響を及ぼすべき法令の違背があることを要する。判決文における特定の事実記載の欠如が、直ちに判決の結果を左右する法令違背に該当するわけではない。
重要事実
上告人は、原審がその判決文の中に訴訟告知に関する事実を記載していないことを理由として、原判決には違法があると主張し、上告を提起した。
あてはめ
上告人の主張は、単に原審が訴訟告知に関する事実を判文中に述べていないという形式的な不備を指摘するにとどまる。このような事由は、実質的に原判決の結論に影響を与えるような法令の解釈・適用の誤りを指摘するものとは評価できない。
結論
本件上告は、原判決に影響を及ぼす法令の違背を主張するものとは認められないため、棄却される。
実務上の射程
判決書の記載事項の不備を理由に上告する場合でも、それがどのように判決の結論(主文)を左右したのかという「判決への影響」を具体的に論じる必要があることを示唆している。実務上は、理由不備や理由食い違い等の絶対的上告理由に該当しない限り、形式的な事実記載の漏れのみで判決を覆すのは困難である。
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