判旨
控訴提起の依頼を受けた者が重病により期限内に控訴できなかったとしても、それは当事者の責に帰すべからざる事由(民訴法97条1項、旧159条)には当たらない。
問題の所在(論点)
不変期間である控訴期間を徒過した原因が、控訴提起を依頼された者の重病による場合、民事訴訟法97条1項(旧159条)にいう「当事者の責めに帰することができない事由」に該当するか。
規範
「当事者がその責めに帰することができない事由により不変期間を遵守することができなかったとき」(民事訴訟法97条1項、旧159条)とは、当事者が善良な管理者の注意を尽くしても、期間を遵守し得なかった客観的事由がある場合を指す。訴訟行為を他人に委託した場合、受託者の過失や怠慢、不慮の事態は原則として当事者の責任範囲に含まれる。
重要事実
上告人は、控訴の提起をある者に依頼していた。しかし、その依頼を受けた者が重病にかかった。受託者は控訴期間(不変期間)が進行していることを認識していたが、病状により身動きが取れず、期間内に控訴を提起することができなかった。
あてはめ
上告人は控訴提起を他人に依頼しているが、受託者が重病で動けなくなったという事情は、上告人自身の管理責任や受託者の選任・監督、あるいは代替措置の検討といった範囲を超える客観的・不可抗力的な事由とはいえない。受託者の不履行は、訴訟手続の迅速・確定という不変期間の趣旨に照らせば、当事者の自己責任の範囲内にあると評価される。
結論
本件の事由は「当事者の責めに帰することができない事由」とは認められず、追完は認められない。
実務上の射程
本判決は、不変期間の追完要件を厳格に解する実務の基本的立場を示している。代理人や使者の事故・病気であっても、当事者側の事情として処理されるため、答案上は、追完が認められるハードルが極めて高いことを論証する際に引用すべきである。
事件番号: 昭和31(オ)598 / 裁判年月日: 昭和33年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者が病気による期日変更を申請した場合であっても、訴訟代理人の選任が不可能である等の特段の事情がない限り、「やむを得ない事由」があるとはいえず、裁判所が期日を変更せず弁論を終結させることは適法である。 第1 事案の概要:上告人は、第2回口頭弁論期日の当日に「公判延期願」と題する書面を提出した。同…