判旨
上告審において原審の適法な事実認定を非難し、それを前提として法令違背を主張する論旨は、上告理由として採用することができない。
問題の所在(論点)
原審が適法に行った事実認定を非難し、これを前提として法令の適用を争う主張は、適法な上告理由(旧民事訴訟法394条等)に該当するか。
規範
上告審は事後審であり、原則として原審が適法に認定した事実に拘束される。したがって、適法な事実認定を争いの対象とし、その認定が誤っていることを前提とする法令違背の主張は、適法な上告理由とはならない。
重要事実
上告人は、原審(控訴審)が行った事実認定には誤りがあるとし、その誤った事実認定に基づいた判断には法令違背がある旨を主張して上告を提起した。
あてはめ
本件の上告論旨は、原審が適法に行った事実認定を不当として非難するものである。このような事実認定を争う主張、およびその事実認定が誤っていることを前提とした法令違背の主張は、上告審の性格に鑑み、採用し得ないものと解される。
結論
本件上告は理由がなく、棄却されるべきである。
実務上の射程
事実誤認は原則として適法な上告理由とならない。実務上、事実認定を争いたい場合は、経験則・論理則違反による「採証法則違反」や「理由不備・理由食い違い」等の形式を採り、法的な瑕疵として構成する必要がある。
事件番号: 昭和30(オ)28 / 裁判年月日: 昭和30年6月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実誤認の主張や、原審で主張しなかった新たな事項、および原審の自由裁量に属する証拠の評価(採証)への不服は、いずれも適法な上告理由にはならない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決には事実誤認があること、および原審で主張していなかった新たな事項を主張し、さらに原審における証拠の採用・評価が経験則に…
事件番号: 昭和32(オ)276 / 裁判年月日: 昭和33年5月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原審の適法な事実認定を非難するにすぎない場合、原判決に影響を及ぼす明らかな法令の違背があるとは認められないため、上告は棄却される。 第1 事案の概要:本件の上告人は、原審(控訴審)が行った事実認定に不服があるとして上告を申し立てた。しかし、その主張の具体的な内容は、原審の証拠選択や事実の…