判旨
事実誤認の主張や、原審で主張しなかった新たな事項、および原審の自由裁量に属する証拠の評価(採証)への不服は、いずれも適法な上告理由にはならない。
問題の所在(論点)
民事訴訟法上の適法な上告理由の範囲(特に事実誤認の主張、新事由の提出、採証上の経験則違背の主張が認められるか)。
規範
上告審において適法な上告理由として認められるためには、憲法違反や重大な手続違背等の法定事由が必要であり、単なる事実誤認の主張や、原審で主張されなかった新事由の提出、または原審の自由な証拠評価(採証)に対する不服申し立ては、適法な上告理由とは認められない。
重要事実
上告人は、原判決には事実誤認があること、および原審で主張していなかった新たな事項を主張し、さらに原審における証拠の採用・評価が経験則に反するとして、上告を申し立てた。
あてはめ
上告人の主張は、原判決の事実認定の誤りを指摘するもの、または原審で主張しなかった新たな事項を当審において初めて主張するものである。また、採証上の経験則違背を主張する部分は、原審の自由裁量に属する事実認定の過程を非難するものに過ぎず、実質的には事実誤認の主張に帰する。したがって、これらの主張はいずれも法律上の上告理由を構成するものではない。
結論
本件上告は棄却される。事案の事実認定や証拠評価に対する不満は、適法な上告理由にならない。
実務上の射程
民事訴訟における上告審(事後審・法律審)の性質を示す基本的事案である。答案上は、事実認定の当否が争点となる場面において、上告審での主張制限や自由心証主義の限界を説明する際の補強として機能する。
事件番号: 昭和31(オ)289 / 裁判年月日: 昭和31年9月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原審の適法な事実認定を非難するものにすぎない場合、民事訴訟法上の適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人らが原審の事実認定を不服として上告を提起したが、上告理由の内容は、原審の証拠評価や事実認定のプロセスに対する非難を主とするものであった。 第2 問題の所在(論点):事実…
事件番号: 昭和28(オ)633 / 裁判年月日: 昭和28年10月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が更正決定によるべき事項や事実認定の非難にすぎず、法令の解釈に関する重要な主張を含まない場合、上告は棄却される。 第1 事案の概要:上告人は、原判決の不服を申し立てて上告したが、その主張内容は更正決定によって解決されるべき事項、または原審の事実認定を非難するものであった。 第2 問題の所在…
事件番号: 昭和29(テ)9 / 裁判年月日: 昭和30年12月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が憲法違反の主張とは認められず、単に原判決を非難するにすぎない場合は、民事訴訟法(旧法)所定の上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決に対して憲法違反を主張して上告を提起した。しかし、その具体的な主張内容は、原判決の判断を非難することに帰着するものであった。 第2 問題の…
事件番号: 昭和31(オ)967 / 裁判年月日: 昭和32年10月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原審の適法な事実認定を争うにすぎない場合、原判決に影響を及ぼす明らかな法令の違背があるとは認められないため、上告は棄却される。 第1 事案の概要:上告人らが原審による事実認定の不当を主張して上告を提起したが、その主張は原審の適法な事実認定を争うにとどまるものであった。 第2 問題の所在(…