判旨
事実認定の誤認を主張し、これを前提として法令違背を主張する上告理由は、適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
原審が適法に確定した事実に反する独自の事実を前提として法令違背を主張することが、適法な上告理由(旧民事訴訟法394条、401条、現行法312条等)に該当するか。
規範
適法な上告理由とは、憲法違反や民事訴訟法で限定的に列挙された絶対的上告理由(現行法312条1項、2項等)を指す。原審が適法に行った事実認定の当否を争い、その認定された事実と異なる事実を前提に法令違背を主張することは、上告裁判所の専権事項に反し、適法な上告理由として認められない。
重要事実
上告人は、原判決が行った事実認定には誤認がある旨を主張した。その上で、上告人が主張する独自の事実関係を前提として、原判決には法令の適用を誤った違法があるとして上告を申し立てた。
あてはめ
上告人の論旨は、実質的には原判決の事実認定を非難するものである。最高裁判所は法律審であり、原審が適法に確定した事実に拘束される。したがって、認定事実自体の誤りを前提とした法令違背の主張は、法律上の判断を求める適法な上告の根拠とはなり得ない。
結論
本件上告は適法な上告理由を欠くため、棄却される。
実務上の射程
民事訴訟において、事実認定の不当を理由に上告することは原則としてできない。司法試験の答案上では、上告受理申立て(318条)における「重要な事項」の判断との区別や、事実認定を前提とする限りでの法令適用の適否を論じる際の前提知識として用いる。
事件番号: 昭和28(オ)359 / 裁判年月日: 昭和28年11月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事上告において、主張が事実誤認や単なる法令違反に留まり、法令の解釈に関する重要な事項を含まない場合は、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人が提起した上告理由が、事実誤認または単なる法令違反を主張するものであった事案。具体的にどのような契約関係や不法行為が争点となったか等の詳細な事実…
事件番号: 昭和31(オ)289 / 裁判年月日: 昭和31年9月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原審の適法な事実認定を非難するものにすぎない場合、民事訴訟法上の適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人らが原審の事実認定を不服として上告を提起したが、上告理由の内容は、原審の証拠評価や事実認定のプロセスに対する非難を主とするものであった。 第2 問題の所在(論点):事実…