判旨
上告理由が、原審が認定していない事実を根拠とするものや、適法になされた事実認定を単に非難するものである場合には、適法な上告理由に当たらない。
問題の所在(論点)
上告理由が、原審の認定しない事実に基づいた主張や、事実認定それ自体を非難するものである場合、民事訴訟法上の適法な上告理由(法律審に対する不服申立て)として認められるか。
規範
適法な上告理由となるためには、判決に影響を及ぼすべき法令の違反があることを具体的に示す必要があり、原審が認定していない事実を前提とした主張や、原審の専権に属する事実認定を争うにすぎない主張は、適法な上告理由を構成しない(旧民事訴訟法394条、401条参照)。
重要事実
上告人は原審の判決を不服として上告したが、その上告理由は、原審が認定していない事実を基礎として原判決を非難するもの、あるいは、原審が適法に行った事実の確定プロセス自体を非難するものにすぎなかった。
あてはめ
本件の上告理由は、原審が認めていない事実を勝手に前提としているか、あるいは原審の適法な事実認定を不当として争うものであり、法律審である最高裁判所が判断すべき法令解釈の誤り等を指摘するものとはいえない。したがって、これらは上告適法の理由には当たらないと評価される。
結論
本件上告は適法な理由を欠くため、棄却されるべきである。
実務上の射程
事実認定の当否を争う主張は、それが経験則・論理則に反する等の特段の事情がない限り、上告理由にならないという実務上の原則を確認するものである。司法試験においても、上告受理申立ての理由(民訴法318条)や上告理由(同312条)を検討する際、事実誤認の主張が原則として制限される文脈で参照される。
事件番号: 昭和28(オ)377 / 裁判年月日: 昭和29年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件上告は、原審が認定していない事実を前提とする主張や、適法に行われた事実認定を非難するに過ぎないものであり、民事上告事件の審判の特例に関する法律所定の上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:上告人は、原審の判断に対して上告を提起したが、その上告理由は原審が認定していない事実を前提とするもの(第…