判旨
上告人の主張は実質的に原審の証拠取捨および事実認定を争うものにすぎず、特例法上の上告理由に該当しない。原審が上告人の家屋占有を認定している以上、前提事実を異にする判例の引用は失当である。
問題の所在(論点)
原審の事実認定(占有の有無)を争う主張、および前提事実が異なる判例との抵触を主張することが、民事上告事件の審判の特例法に定める適法な上告理由に該当するか。
規範
「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」に基づき、上告理由が事実誤認の主張に帰着する場合や、前提事実の異なる判例を引用する場合には、法令解釈に関する重要な主張を含むものとは認められない。
重要事実
上告人は本件家屋の占有を否定して争ったが、原審は上告人が当該家屋を占有している旨の事実認定を行った。これに対し上告人は、憲法違反や判例違反を主張して上告を申し立てた。
あてはめ
上告人の憲法に関する主張は、その実質において原審の証拠取捨や事実認定を争うものであり、独自の法令解釈上の問題を提起していない。また、引用された判例は占有を認めない事案に関するものであるが、本件原審は占有を肯定しており前提を欠くため、判例違反の主張も適切ではないといえる。
結論
本件上告は特例法上の要件を満たさず、適法な上告理由がないため、棄却されるべきである。
実務上の射程
事実認定の当否を実質的に争う主張は上告理由にならないという民事訴訟実務上の原則を確認するものである。答案上は、理由不備や事実誤認を憲法違反等にこじつけても、最高裁の受理・審理対象とはならないことを示す文脈で使用される。
事件番号: 昭和26(オ)108 / 裁判年月日: 昭和26年10月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が、原審が認定していない事実を根拠とするものや、適法になされた事実認定を単に非難するものである場合には、適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:上告人は原審の判決を不服として上告したが、その上告理由は、原審が認定していない事実を基礎として原判決を非難するもの、あるいは、原審が適法に…