判旨
上告審において、原判決が適法に行った事実認定と相容れない事実を主張することや、原審で主張していなかった新たな事実を主張して原判決を非難することは、適法な上告理由として認められない。
問題の所在(論点)
原判決による事実認定の適否を上告審で争うことができるか。また、原審で主張していなかった新事実に基づき、上告審において原判決の違法を主張することが認められるか。
規範
上告審における事実認定の争点化については、原判決が証拠に基づき適法に行った事実認定を争うことや、原審において主張していなかった新事実を基礎として原判決の違法を主張することは、法律審である上告審の性質上、許容されない。
重要事実
上告人は、原判決が証拠に基づいて適法に行った事実認定に対し、これと相容れない独自の事実を主張して認定を非難した。さらに、原審では一切主張していなかった新たな事実を前提として、原判決には所論の違法があると主張して上告を提起した。
あてはめ
上告人の主張は、原判決が適法に確定した事実と矛盾する事実の主張、または原審での主張を欠く新事実に基づく非難である。法律審である最高裁判所は、原審が適法に認定した事実に拘束されるため、これと異なる事実関係を前提とする上告理由はいずれも失当といえる。
結論
本件上告は棄却される。上告人の主張はいずれも採用することができない。
実務上の射程
民事訴訟法上の事実認定に関する上告制限を再確認する事案である。答案上は、事実認定の違法を主張する際に、単なる事実の争いに終始する主張は不適法とされる根拠(上告受理申立ての制限等)として参照し得る。
事件番号: 昭和31(オ)944 / 裁判年月日: 昭和34年1月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において初めて主張された新事実は、原審で確定されていない限り、上告理由の前提とすることはできず、これに基づく法令違法や判例違反の主張は認められない。 第1 事案の概要:上告人は、対象となる建物が四戸建であり分割可能であるという事実を前提に、原判決の法令適用や判例違反を主張した。しかし、この「…
事件番号: 昭和33(オ)345 / 裁判年月日: 昭和34年8月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において、原審で主張していなかった新たな事実上の主張を基礎として原判決の違法をいうことは、民事訴訟の手続上許されない。 第1 事案の概要:上告人(賃借人)は、被上告人(賃貸人)からなされた月額5,000円の延滞賃料の催告に基づく契約解除を争っていた。上告人は、上告審において、当該催告より以前…
事件番号: 昭和28(オ)865 / 裁判年月日: 昭和29年10月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において、原審で主張しなかった事項を前提として原判決の違法を主張することは認められない。 第1 事案の概要:上告人が、原審(控訴審)において主張していなかった事項を前提として、原判決には違法がある旨を主張し、最高裁判所に上告を提起した事案である。 第2 問題の所在(論点):原審(下級審)で主…