判旨
上告審において、原審で主張しなかった事項を前提として原判決の違法を主張することは認められない。
問題の所在(論点)
原審(下級審)で主張しなかった事項を、上告審において新たに主張し、それを前提として原判決の違法を争うことができるか(上告理由の適格性)。
規範
上告審は事後審であり、原則として原審までの訴訟資料に基づき原判決の当否を審査するものである。したがって、原審において主張しなかった新たな事実や主張を前提として原判決の違法をいうことは、民事上告事件の審判の特例に関する法律等の上告理由のいずれにも該当せず、適法な上告理由とはならない。
重要事実
上告人が、原審(控訴審)において主張していなかった事項を前提として、原判決には違法がある旨を主張し、最高裁判所に上告を提起した事案である。
あてはめ
本件において上告人が主張する内容は、いずれも原審において主張されていない事項を前提とするものである。これは「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」1号から3号のいずれにも該当せず、かつ同法にいう「法令の解釈に関する重要な主張」を含むものとも認められない。
結論
本件上告は棄却される。原審で主張しなかった事項に基づく違法の主張は、適法な上告理由を構成しない。
実務上の射程
民事訴訟における適法な上告理由の範囲を限定する実務上の基本原則(上告審における新主張の禁止)を示す。答案上は、上告理由の有無を検討する際に、その主張が原審までの資料に基づいているかを確認する根拠として機能する。
事件番号: 昭和27(オ)1059 / 裁判年月日: 昭和28年5月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、上告理由が実質的に法令違反や事実認定の不当を主張するものに過ぎず、民事上告事件の審判の特例に関する法律所定の上告事由に該当しないとして棄却された事例である。 第1 事案の概要:上告人は、原判決における憲法違反等を主張して上告を提起した。また、原審の口頭弁論に関与した裁判官の署名捺印の有無に…
事件番号: 昭和28(オ)633 / 裁判年月日: 昭和28年10月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が更正決定によるべき事項や事実認定の非難にすぎず、法令の解釈に関する重要な主張を含まない場合、上告は棄却される。 第1 事案の概要:上告人は、原判決の不服を申し立てて上告したが、その主張内容は更正決定によって解決されるべき事項、または原審の事実認定を非難するものであった。 第2 問題の所在…